逃げる外国人、日本株はどこで下げ止まるか 貿易戦争懸念とナスダック下落の嫌な流れ
日経平均株価も、一連の影響で前週末には一時1000円を越す下げに見舞われた。ドル円も1ドル=104円台までドル安円高が進んでいる。
しかし、である。筆者は、日本の個人投資家としては、待ちに待っていた「彼岸底」のはずなのに1000円安とはさぞ意気消沈かと思い、対面取引の現場(証券会社)に聞いて見たのだが、現場は意外に元気なので驚いた。21日の休暇をはさんで23日の引け後、東京証券取引所より投資主体別売買動向が発表されたが、これを見るとわかるように、3月第2週の個人投資家はしっかり売っていた。
個人投資家は、年初の2万4000円も売り向かい、2月の急落から買い出動の形になっているとされてきた。MRF(マネーリザーブファンド)に溜まっていた「13兆円の鯨」が動いたと話題になったが、残高を見ると12兆円になっただけで、実際は1兆円が動いたに過ぎなかった。今回の急落は2度目の買い出動のタイミングと捉えているようだ。
そうは言っても、個人投資家の手持ちの資産はここでかなり目減りしたはずだ。NY株を支えていたナスダックもいやな形になっており、個人投資家が得意な中小型株もダメージを受けている。
ただ、乱暴に見えるトランプ貿易政策だが、目的は自国の貿易赤字解消と、中国の知的侵害の是正が目的である。前者は日本もターゲットに入り、後者においては、「ここで勝負しないと大変なことになる」という米国の危機感の現れでもあり、どう決着を付けるかまだ見えない。一方、中国は、膨大な自国の消費市場を餌に、進出企業のコア技術の公開を迫り、先端技術を吸い尽くそうとして来た。ビジネスマンのマインドを持つトランプ大統領の意図は十分理解できるので、これは厄介なことだ。
世界経済は好調持続、市場の落ち着きを待つ
だが、これをきっかけに好調な世界経済が、後退期に入ると考えるのは早計だ。落ち着きを待ちたいと思う。
トランプ大統領は、FOMC(米連邦公開市場委員会)で好調な米国経済が確認され、予想通り利上げが表明された直後にこうした行動をとってきた。中間選挙を控えある程度事前に予想されたこととはいえ、政権と金融当局の一体感は見られず、ちぐはぐな感じを受ける。
こと日本株だけを見れば、日経平均株価全体の予想PER(株価収益率)は12倍台であり、割高とはどう考えても思えない。外国人投資家の売りは10週連続となり、累計で8兆円を超えた。1ドル=104円台まで進んだドル安円高を嫌気しているのはわかるが、米国において今年「あと3回」(つまり年計4回、あと2回と予想されたがドットチャートを見ると限りなくあと3回に近いと推定する)の利上げが予想される中で、そろそろドル安円高も転機が迫っているのではないか。今週の日経平均予想はもう一段の下落も有ると見て、2万円―2万1000円としたい。
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