「鈴廣かまぼこ」150年も生き残る老舗の本質

伝統を守り革新を続ける食品企業の成長哲学

超特選の「古今」は1本3600円。製造工程を知ると決して高いとは思えない(写真:ファクトリエ提供)

鈴廣かまぼこは自社内に「魚肉たんぱく研究所」を設けています。その目的としてまず挙げられるのが、早期の人材育成です。「従来はベテラン職人の背中を見て学ぶ以外に育成方法がありませんでした。必要な知識と技を身につけるまでに20年の歳月が必要でしたが、 技を理論的に伝える仕組みにより、人材の成長スピードは着実に速まっています」(鈴木さん)。

生産工程の機械化も目的の1つです。水産博士号を持つ研究者が中心となって、魚の水分値、弾力、脂ののり方などのデータを収集。製造工程を科学的に解明することで、職人の感覚に頼らなければならない領域を減らしています。

職人がすべて手仕事で製造する商品もありますが、機械で量産化するラインも最近設けたそう。職人芸の再現には至っていませんが、ラボのデータを活用することで、機械で生産された商品の味を手作り商品の味に近づけています。

同社は、「かまぼこの里」という施設も運営しています。かまぼこ博物館や、かまぼこバー、かまぼこをテーマにしたレストランなどを併設し、さらには食べ終わった板で遊ぶワークショップや伊達巻を使ったパフェづくりというユニークなイベントも開催。さまざまな角度からかまぼこの魅力に触れてもらう取り組みを行っています。

老舗にあって老舗にあらず

食文化の多様化や少子化が進む中において、「食べてもらえればわかる」という姿勢ではファンを増やすことはできません。鈴廣かまぼこは老舗であるという自負を持ちつつも、時代に合わせたアクションを積極的に起こすことでファンを獲得しています。

代々受け継がれてきた伝統を守りつつ、新しい試みを行っている背景には、「老舗にあって老舗にあらず」という社是があります。最高のかまぼこをつくるという理念はいつの時代も同じですが、それを実現するために変えるべきところは変えていくという考え方です。

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