森友問題、「決裁文書改ざん」の呆れた行状

財務官僚の手厚い"忖度"が白日の下に

こうした“書き換え”は財務省理財局が、昨年2月下旬から4月にかけて行ったという。麻生太郎財務相は12日のぶら下がりで、文書の書き換えは佐川宣寿理財局長(当時)の答弁に合わせるためだったと述べた。

3月12日、ぶら下がり会見で釈明する麻生太郎財務相(写真:REUTERS/Toru Hanai)

確かに佐川氏は国会で「記録は破棄した」と繰り返していたため、ないはずの交渉過程の文書が出てはまずいことになる。しかしそれなら昭恵夫人の名前まで消す必要があったのか。

なぜ昭恵夫人の名前を消したのか。それはやはり安倍晋三首相を守るためではなかったか。

安倍首相は昨年2月17日、衆議院予算員会で「私も妻も関与しているとするのなら、総理も議員も辞める」と明言。よって昭恵夫人の名前が交渉記録に残っては「関与」が伺えてしまうのだ。

その安倍首相の名前も、削除された決裁文書で日本会議国会議員懇談会の副会長として掲載されていた。佐川氏を斬り捨てた麻生財務相も特別顧問としてそのリストに名前があった。

キャリア官僚の手厚い“忖度”

なぜそこまで理財局は政治家を忖度しなければならないのか。これについては国税庁長官の人事を見るとわかりやすいかもしれない。国税庁長官のポストはかつて理財局や主税局、およびその他の部署でまわしていたが、林信光氏が2014年7月に就任して以来は4代にわたって理財局長経験者が独占している。

官邸が公務員の人事権を掌握する内閣人事局が設置されたのが2014年5月30日だが、決裁文書の“書き換え”は2014年6月に始まっている。また削除された2016年6月14日の「普通財産売払決議書」には、「貸付措置は、特例的な内容となることから、平成13年3月30日付財理第1308号『普通財産貸付事務処理要項』貸付通達、記の第1節の第11の1に基づく理財局長の承認を得て処理を行うこととし、平成27年4月30日付財理第2109号『普通財産の貸付けに係る特例処理について』により理財局長承認を得ている」との文言があり、理財局長も含めた“特別のはからい”が伺える。

佐川氏がぶれもせずに国会で「文書は破棄した」と言い続けた理由がよくわかる。

「なぜこんなことが起きたのか。全容を解明するために調査をすすめていく」

安倍首相は12日、やや疲れた表情で記者団にこう答えた。しかしその口調は他人事を述べているようにも聞こえた。7日に自死した近畿財務局の職員は周囲に「常識が壊れた」と漏らしていたという。

まさに長年真面目に働いてきた公務員の無念さがにじみ出る言葉だが、キャリア官僚の手厚い“忖度”によって守られている安倍首相に、果たしてその無念の思いは届いているのだろうか。

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