朝の京王線、「渋滞」しても追突しないワケ 安全を守るシステムはこんなに進化している

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京王線の最新型車両5000系の運転台。2つある円形のメーターの右側がスピードメーター。この周辺に速度指示などが表示される(撮影:尾形文繁)

京王電鉄によると、これらの速度の指示は「エリアごとの拠点に配置されている『ATC地上装置』より、線路を介在してATC信号電流を送信し、列車に搭載されている『ATC車上装置』にて受信されています」。

つまり、線路を流れる信号電流を列車が受信し、その情報を受けて列車の出せる速度を運転台に表示するわけだ。

速度の指示は「ATC車上装置にて自列車位置・先行列車位置・列車速度・前方線路の環境情報(カーブによる制御・勾配など)を勘案し、前方列車に接近しつつも安全に停車する速度パターンを計算及び制御する仕組みとなっております」(京王)といい、車両側の装置が先行列車との間隔などを把握した上で計算し、表示するようになっている。

これで、列車の間隔を詰めながらも安全に運行することができているのだ。

「軌道回路」で位置把握

では、列車の位置はどのようにして把握しているのだろうか。

京王ATCの信号電流の中身には、次のようなものがある。自列車の在線軌道回路、自列車の運転方向(上り・下り)、自列車の列車種別(各駅停車・特急など)、前方まで進行可能な軌道回路数である。

軌道回路とは、「線路上の特定区間に列車が存在するか、しないかを検知する電気的な装置であり、線路を電気的に区切った区間のことを指します。1つの軌道回路には、1列車のみ在線できます」(京王)というものである。

どの軌道回路の区間に列車が存在するかを検知することで列車の位置を把握し、先行列車との間隔を保っているわけだ。

次ページ前の列車にどのくらいまで近づける?
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