朝の京王線、「渋滞」しても追突しないワケ 安全を守るシステムはこんなに進化している

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京王の場合、ラッシュ時に限らず平日の昼間でもダイヤは詰まっており、先行列車のすぐ後ろまで次の列車が接近しているのを見かけることは多い。前後の列車が見えるほどに接近できるということは、軌道回路はかなり細かく区切られているのであろう。それでも高速で安全に運転できるのは、軌道回路で検知された先行列車との間隔やカーブなど線路の状況、そして停車駅などの条件に基づき、列車の適切な運行速度を算出する仕組みが完成されているからだ。

では、実際のところ、どこまで先行列車に接近が可能なのだろうか。京王は、「ATCの制御パターンとしては、先行列車が在線している次軌道境界点より数十m以上手前に停車するように構成しています」と説明する。明大前駅の上りホームで、次の列車がすぐ後ろまで迫っているように見えていても、実際には少なくとも数十mは離れているのだ。とはいえ、京王線の車両は1両約20m、10両編成でおよそ200mである。その大きさから、数十m離れていても「近い」と感じるのだろう。

安全を支えるシステムの存在

ちなみに、このような駅手前での停車だが、これは単に結果としてそうなっているわけではない。「最混雑時間帯に上り全列車が停車する明大前や千歳烏山では、先行列車が駅に停車していることを踏まえ、通常よりも長い運転時間を設定する場合もございます」(京王)。朝のダイヤは、駅での停車時間が長くなることや、列車が駅の手前で停止することも考慮した上でつくられていることがわかる。

日本国内の鉄道は、列車衝突事故などを起こさないように安全に運行する仕組みを全国的に整えているが、京王線など運行本数の多い都市部の鉄道では、安全かつ高密度の運行ができるよう、列車を自動で制御したり、停止したりする装置を充実させている。運転士の努力とともに、システムを充実させることで列車の安全な運行は保たれているのだ。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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