iCloudデータ、「中国移行」に懸念の声 当局は反体制派取り締まりのため権限悪用?

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 2月24日、アップルは同社にとって初めて、中国人ユーザーのiCloudアカウントの暗号化キーを中国国内で保管することになる。写真は同社ロゴ。2017年7月撮影(2018年 ロイター/Aly Song)

[サンフランシスコ/北京 24日 ロイター] - アップルは2月末、中国人ユーザーの「iCloud(アイクラウド)」アカウント運用を中国データセンターに移行。中国で制定された法律遵守のためだが、これにより中国当局は、従来よりはるかに容易に、クラウド上に保存されたテキストメッセージ、電子メールなどのデータにアクセスできるようになる。

なぜなら、iCloudアカウントのロック解除に必要な暗号化キーの取扱いが変更されるからだ。これまで暗号化キーは常に米国で保管されていた。つまりどの国の政府や法執行機関であっても、中国人ユーザーのiCloudアカウントにアクセスするためには米司法システムを経由する必要があった。

だがアップルは今回、同社にとって初めて、中国人ユーザーのiCloudアカウントの暗号化キーを中国国内で保管することになる。司法専門家によれば、中国当局がiCloudユーザーに関する情報を必要とする場合、もはや米裁判所に頼むことなく、自国の司法システムを通じて、中国人ユーザーのiCloudデータを引き渡すようアップルに請求できるようになる。

反体制派の取り締まりのために権限を悪用

人権活動家は、中国当局が反体制派の取り締まりのためにこの権限を悪用することを危惧しており、10年以上前、ヤフーが引き渡したユーザーデータがきっかけとなって、民主活動家2人の逮捕・投獄につながった事例を引き合いに出している。

人権活動家でアップル株主でもあるJing Zhao氏は、アップルがiCloudデータを引き渡せば、ヤフーの場合よりも深刻な人権問題が生じるのではないかと懸念していると言う。

アップルは声明で、最近中国で導入された法律により、同国民に提供されるクラウドサービスは中国企業によって運営されること、またそのデータを同国内で保管することが義務付けられており、この規定を遵守しなければならなかった、と述べている。

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