資生堂が「強気な中期計画」を発表できる事情 年平均8%増収、利益率10%超を目指す

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ブランド力向上に加えて、売上高を伸ばすカギとなるのが中国人購買層の取り込みだ。資生堂では、2017年時点で1億3000万人だった世界の中国人旅行客が、2020年には1億6000万人にまで増えると見込む。さらにその中で訪日中国人旅行客は2017年の735万人から1000万人にまで増加すると見る。

「2020年には主要ブランドで商品改良が準備されている。さらに今後は日本だけではなく、欧米でも中国人による資生堂製品の購買が拡大する」と魚谷社長は中国人購買層の拡大に期待を寄せる。

「メード・イン・ジャパン」こそ優位性

トップラインを上げるためにさまざまな戦略を掲げるが、供給体制の確立が1つの課題となる。現在、化粧品は世界的に需要が伸びており、業界全体で供給不足が顕在化しつつあるからだ。

質問に答える魚谷社長と直川紀夫・執行役員常務(編集部撮影)

同社は2020年までの3年間で1300億円の設備投資投入を計画している。その大半を占めるのが、2019年に栃木県の大田原市に新設される那須工場と、2020年に大阪の茨木市に移設・増強される大阪工場だ。那須工場は主に国内向け、大阪工場は世界に向けたスキンケア製品の供給基地になる見通し。

国内での工場建設は実に37年ぶり。その意義について魚谷社長は「資生堂の優位性は品質であり、”メード・イン・ジャパン”にある。それを強化する意義は大きい」と語る。そして2030年には仏ロレアル、米エスティ・ローダーに肩を並べる世界トップ3のプレステージブランドを目指すという。

魚谷社長は「(供給体制さえ整えば)売上高で年10%増は可能」と今後に自信を見せる。だが、資生堂の業績を下支えしているプレステージ分野の人気や、中国人による購買もいつまで持続するか、まだまだ先の読めない部分も多い。今後景気の腰折れがあった時にこそ、資生堂の真のブランド力が試されることになるかもしれない。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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