仏教流! プレッシャーとどう戦うか? 「おもてなし」よりも「おかげさま」

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今日が最後の日だったら?

では、日頃から念仏に親しんでいない人は、どうすればいいのでしょうか? 何かしら、自分なりの儀式を持つとよいと思います。スティーブ・ジョブズの朝の日課であった「今日が人生最後の日だったら、自分は今日やるべきことをやるだろうか?」という問いかけも、そのひとつだと思いますが、自分の心が奮い立つような好きな言葉をつぶやいたり、好きなお経を読んだりするのもいいかもしれません。いずれにせよ、おそらく大切なことは、その儀式によって「自分がもうすでに一度死んだ身であるような感覚になれる」ことだと思います。九死に一生を得た方は、その経験の後に「おかげさま」の心あふれる人生を送られる方が多いのです。いつでもすぐにそんな感覚を起動できるようになれば、プレッシャーも怖くありません。

昨日までの自分の延長に今日の自分があるのではなく、細胞が日々入れ替わるように、一瞬一瞬、死んで生まれてを繰り返している身であること、一瞬一瞬がおかげさまのいただきものの身であることに気がつけば、身も心も軽く、気持ち新たに力強い一歩を踏み出すことができます。

過去の成功は、今すぐ脱ぎ捨ててしまいましょう。

松本 紹圭 光明寺 僧侶

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まつもと しょうけい / syoukei matsumoto

1979年北海道生まれ。本名、圭介。浄土真宗本願寺派光明寺僧侶。蓮花寺佛教研究所研究員。東京大学文学部哲学科卒業。超宗派仏教徒のウェブサイト『彼岸寺』(higan.net)を設立し、お寺の音楽会『誰そ彼』や、お寺カフェ『神谷町オープンテラス』を運営。

ブルータス「真似のできない仕事術」、Tokyo Source「東京発、未来を面白くするクリエイター、31人」に取り上げられるなど、仏教界のトップランナーとして注目される。2010年、南インドのIndian School of BusinessでMBA取得。現在は東京光明寺(komyo.net)に活動の拠点を置く。2012年、若手住職向けにお寺の経営を指南する「未来の住職塾」を開講。全国各地で各宗派から意識の高い若手僧侶数十名が「お寺から日本を元気にする」志のもとに集結し、学びを深めている。

著書に『おぼうさん、はじめました。』(ダイヤモンド社)『"こころの静寂"を手に入れる37の方法』(すばる舎)『お坊さん革命』(講談社プラスアルファ新書)『お坊さんが教えるこころが整う掃除の本』(ディスカヴァー21社)『脱「臆病」入門』(すばる舎)など。
 

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