野村がリーマン社員に破格の報酬条件を提示!--直近同水準の月給を保証し引き留め狙う

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野村がリーマン社員に破格の報酬条件を提示!--直近同水準の月給を保証し引き留め狙う

経営破綻した米国証券大手リーマン・ブラザーズの一部社員を雇い入れる野村ホールディングスが、リーマン日本法人で働く約1300人に提示した報酬条件が東洋経済オンラインの取材で明らかになった。当面の月額報酬について、社会保険料などを含みリーマン社員が直近に得ていたのとほぼ同水準の月収を保証。リーマン社員が年1回、毎年12月に得ていた賞与については、来年春以降に支給するもようだ。

野村ホールディングスの平均年収が1398万円(平均年齢39.8歳)なのに対して、リーマンでは30歳代の社員でも年俸2000万~3000万円が珍しくない。新卒社員ですら年俸600万円は取っていると言われる。野村の報酬体系をそのまま適用しては、人材を引き留めておくことは難しいと見られていた。

野村はひとまず、リーマン社員に従来と同条件の月給を支給することで、生活の安定を約束し、労働条件の悪化を懸念して野村への転籍をためらう人材の引き留めを狙う。野村は同時に、面倒な報酬条件の個別交渉の手間を省き、リーマン社員の受け入れを円滑に進めたい意向もあるとみられる。

野村からの条件提示は、9月29日までにリーマン日本法人の社員約1300人全員になされたもよう。野村がリーマン日本法人の社員と同様に人材の受け入れを予定しているリーマンの欧州・中東、アジア・太平洋地域の約4200人については不明だが、同程度の報酬条件を提示するとみられる。

リーマン日本法人は年俸制を採用しており、評価に応じて毎年12月に年1回の賞与支給とともに年俸を更改していた。野村がリーマン日本法人の社員に、従来とほぼ同条件の月給を保証する期限は明らかでないが、野村はリーマン社員に今年12月分の賞与については、来年3月と10月の2回に分けて支給するという。

破綻したリーマンの人材をめぐっては、野村が一括雇い入れを決めたが、リーマン社員側には野村に拘束される法的な制約はない。「リーマンの優秀な人材には、外資系を含めた野村以外の金融機関がヘッドハンティングを仕掛けて」(業界関係者)おり、野村としては優秀な人材を引き留めるために、労働者が最も気にする雇用条件である報酬水準について、分かりやすく妥当性のあるプランを迅速に提示する必要があったとみられる。

リーマン破綻後、1週間あまりで人材の雇い入れ交渉を迅速にまとめた野村。「スピード、変化をつくる、ワールドクラス」をキーワードに今年4月に就任した渡部賢一社長兼CEOの言葉通りの戦略を推し進める。
(武政秀明 =東洋経済オンライン 撮影:今祥雄)

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