トヨタ「アル・ヴェル」が苦手な人たちの心理 高級ミニバンの持つ威圧とそれへの妬み

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2つ目の理由は、そのいかつすぎるフロントマスクだろう。フロントマスクのほとんどがグリルといっても過言ではないほどの顔つきは、例えドライバーにそんな意識がなくても威圧感を与えてしまい、「煽られた」と思ってしまうのだ。

また、一部のマナーの悪いドライバーがその威圧感を利用した荒い運転をすることで、その印象は鮮明に残ってしまう。高速道路やバイパスで無茶な追い越しをかけるアル・ヴェルをたまに見かけるが、その姿が大きいだけにとても目立つ。アル・ヴェル=マナーが悪いというイメージが植え付けられてしまうのではないか。なにせ月間販売台数で、日本で10本の指に入るほど売れている車種であるから、マナーの悪いドライバーが乗る確率も上がってしまうだろう。

妬みや劣等感が入り混じった感情から…

そして最後の理由は「あんな高いクルマに乗りやがって」という妬みや劣等感が占めているのではないだろうか。かく言う筆者も若いドライバーが高級車を乗っているところをみると「若いくせに」と思ってしまうことがないとは言い切れない。そんな妬みや劣等感が入り混じった感情から、アル・ヴェルを否定したい気持ちが生まれてしまうのかもしれない。

実はこれにはカラクリがあり、若いユーザーにも人気のあるアル・ヴェルは中古車市場でも引く手あまた。そのため、新車で購入したときに残価設定ローンを使用すると、3年後の残価率は60%前後(販売店によって変動はあるものの)、5年でも50%くらいととんでもない価値が残ってしまうのである。

つまり、車両本体価格が500万円のグレードを5年ローンで購入したとしても、実際にユーザーが支払う額は残価を残した250万円ということ。これはプリウスとほぼ同額であり、プリウスを買う程度の出費で購入できてしまうのだから、若いユーザーでもちょっと頑張れば新車のアル・ヴェルが買えてしまうのだ。

もちろん中には若くして仕事で成功してポーンと現金で購入している人や、親のすねをかじりまくって買ってもらっている人もいるかもしれないが、多くのアル・ヴェルユーザーは普通の人と同じくらいの給料をやりくりして購入しているわけで、まったくもって妬んだり嫉妬したりする必要はないということをお伝えしておきたい。

小鮒 康一 フリー(ライ)ター

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こぶな こういち / Kouichi Kobuna

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とするが、実は現行車へのチェックも欠かさない。また、中古車販売店に勤務していた経験も活かし、中古車系の媒体でも活動中。できればどこへでもクルマで行きたいタイプで、電車移動は苦手な部類。通称「フナタン」。

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