渋澤:米国の長期金利は、おそらく3%までは想定内で、誰もがそこまでの上昇は容認していますが、それを超えてくると、少し話が違ってくる。今が2.8~2.9%程度なので、長期金利の上昇を警戒する必要はありません。ちなみに2008年のリーマンショックの時が4%ぐらい、1987年のブラックマンデーの時が9.5%まで上昇したことから考えれば、3%はまだまだ低金利といってもいいでしょう。だから、少なくとも現状では、長期金利の上昇をそれほど懸念する必要はありません。
中野:3%だと2%のインフレ率に1%を上乗せした水準ですから、確かに適正水準ですね。そう考えると、米国はまだ健全ですよ。何しろ、消費者物価指数が上昇するという見通しが強まれば、長期金利が上昇するのですから。
渋澤:でも、財政赤字が1兆ドルを超えるというなかで3%という長期金利の水準が妥当かどうかという問題はあります。
今後のポイントは「新興国市場が崩れるかどうか」
中野:世界の金利はずっと下がり続けてきましたが、マイナス水準まで突っ込んだところで底を打ち、今後は本格的な上昇へと向かうかもしれません。為替も円高方向に振れてきましたし、株価も今回のような急落を経験して、いよいよマーケット全体が大きな転換点を迎えている可能性があります。
渋澤:今は3月決算期末の益出しなどの市場の思惑がありますから、円高に振れやすい時期です。日本に限っていえば、黒田東彦日銀総裁の続投は決まったし、長期金利はそう簡単に上がらないでしょう。したがって、本格的な円高はないと考えています。
中野:もし、さらにドル高が進んだら、今度は新興国が厳しくなるでしょう。新興国の財政赤字は1990年代と同水準にまで悪化しています。この債券バブルで、アルゼンチンやブラジルの国債まで買われている。これは明らかに行き過ぎですよ。
藤野:新興国が崩れないようなショックは、ありませんからね。仮に、今回の米国株の調整が調整にとどまらず、何らかのショックの始まりだとしたら、新興国は相当厳しい状況に追い込まれます。とはいえ、今回の急落に乗じて、どこかのヘッジファンドが死ぬほど大儲けしたみたいですね。これまでの上昇相場でずっと負け続けていたのだけれども、99敗後の1勝で大逆転。もっとも、反対に、これまで99勝していたのに、たった1敗で全財産を失った人もいたのでしょうね。
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