名古屋が元気になるカギはどこにあるのか 名古屋の放送番組を支える企業たち

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こうした企業の経営陣には、「まち」や「社会」に意識的な若い世代が多い。すでに「エイチーム」は地元ラジオ局の人気番組の冠スポンサーとなっており、「Misoca」の役員は名古屋の社会起業家やスタートアップ支援の組織にもかかわっている。

彼らのような人材を中心として、今後のまちづくりや情報発信がどう盛り上がるのか、注目したいところだ。

「自虐ネタ」からの脱却がカギ!?

人材と放送との関係では、「芸能」についても触れておきたい。

古くから芸どころとされていた名古屋だが、いわゆる「芸能人」は決して多くなかった。名古屋学院大学現代社会学部の江口忍教授は、経済的に「元気な名古屋」と言われ始めた2002年ごろ、出身地別の人気芸能人の数を分析した。すると名古屋は東京や大阪はおろか、福岡などの地方都市に比べても圧倒的にランクが低いことがわかった。人口規模に対するタレントの輩出率は、全国で最下位レベルだったのだ。

これは東京、大阪に対するコンプレックスが大きいことや、地縁・血縁の強力なネットワークによって「出る杭を打つ」風土になってしまったからだと、江口教授は見る。

しかし、ここにも変化の兆しは現れてきている。近年、AKBグループからいち早く派生したのが名古屋のSKE48であったり、男性グループでも名古屋ローカルだった「BOYS AND MEN(ボイメン)」が全国デビューしたりという流れができた。俳優では武井咲や玉木宏、お笑いではスピードワゴンなど、名古屋エリア出身でブレークしている芸能人は少なくない。

「彼らは従来の名古屋人タレントのように、田舎性を強調した『自虐ネタ』を前面に出すことがない。親世代も含めて名古屋人が自信を持ったことの表れだろう。今後はそうしたポジティブさが、産業以外で全国から人や注目を集めるために重要だ」と江口教授は指摘する。

横浜出身の筆者は、2005年の愛知万博開催の前年から名古屋に在住している。万博も当初は「ガラガラだ」「弁当が持ち込めない」などと批判され、自虐的な雰囲気が漂った。しかしそこから盛り返し、最終的には予想以上の成功で終わった。同時期に出現したお嬢様スタイルの「名古屋嬢」なども、ひと昔前なら冷笑的に語られたネタだったかもしれないが、実際に東京でももてはやされ、「自虐」が「自信」に変わっていく様子を目の当たりにできた。

こうしたさまざまな転換が放送の「新しい風」にも反映されていると思えるのだが、いかがだろうか。

関口 威人 ジャーナリスト

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せきぐち たけと / Taketo Sekiguchi

中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で環境、防災、科学技術などの諸問題を追い掛けるジャーナリスト。1973年横浜市生まれ、早稲田大学大学院理工学研究科修了。

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