香港の電気街が仮想通貨ブームで賑わう事情 顧客の狙いはマイニング用の「リグ」だった
ただし、こうした状況が急変するリスクは、彼らも覚悟している。
「仮想通貨マイニングへの意欲は非常に強い。もちろん、そのインセンティブは仮想通貨価格だが、相場は非常に不安定だ。とはいえ、現在あるいは昨年の需要は非常に力強く、今後もそれが続くと期待している」とTSMCのモリス・チャン会長は先月の決算会見で述べた。
シンガポールへの信頼
香港シャムスイポーの小型版とも言えるシンガポール電気街シンリムスクエアでも、マイニング用機材の需要増大が見られる。
自身の兄弟が経営するショップ「ビズグラム」でコンサルタントとして働く39歳のアヌジ・アガルワルさんは、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ロシアなどからの顧客に対応していると語る。
「外国人がシンガポールを訪れるのは、ここではすぐにマイニング用リグが供給されるし、シンガポールは国として信頼されているからだ」とアガルワルさんは語り、両親と共に来店した16歳の若い客もいた、と付け加えた。
近くにあるショップ「ビデオプロ」のリュウ・シャオユーさんは、あまりの需要についていけないと話す。
「GPUカードを500枚くれという客がいた。35万シンガポールドル(約2840万円)以上だ」とリュウさんは言う。「先週は別の客が、やはりGPUカードを1000枚くれと言ってきた。今は供給が少ないから、残念ながらこの規模の注文には応じられない」
GPUを採用するリグでは、通常1基あたり6─12枚程度のGPUカードを内蔵している。
ビットコイン価格は、過去最高の2万ドル近くから6割下落したが、ショップ関係者は、大規模なマイニング事業を営む傾向のある常連客には怯む様子が見られないと話す。
香港のBNWテクノロジーで店舗マネジャーを務めるロイ・チャン氏は、「個人でやっている場合は怖じ気づくかもしれないが、大規模なマイナーは事実上気にしていない。うちの店の主要顧客はそうした大規模マイナーだ」と語る。
シンガポールでは、ビットコイン価格下落に伴い売上げが4割も落ちた例がいくつかあるものの、ショップのあいだに動揺は見られない。
「ビットコインの価値がまた上昇すれば、世界各地の顧客からたくさん電話やメールを受けることになるだろう」とビズグラムのアガルワルさんは語った。
(Wyman Ma記者, Dewey Sim記者、Joyce Lee記者、翻訳:エァクレーレン)
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