香港の電気街が仮想通貨ブームで賑わう事情 顧客の狙いはマイニング用の「リグ」だった
かつては隆盛をきわめたアジアのハイテク商店街は、パソコン需要減退の影響を受けて近年は勢いを失っていた。だが、リグ需要によって新たな展望が開けつつある。
一時はもっぱら国内消費者向けに、携帯電話その他の家電製品を並べていた店頭は、一財産稼げるかもしれないハードウェアを探す外国からの訪問客を迎えている。
デジタル・マイニング
リグは、航空機格納庫並みに広大な倉庫にずらりと積まれ、常時モニタリングされていることが多い。
各ユニットは、複雑な数学的演算を処理するエネルギー消費の大きいプロセッサを搭載している。解を見つけられればブロックチェーン取引を認証する権利を得て、「マイニング」報酬を稼ぐことができる。
ある暗号通貨専門家によれば、事例証拠ではあるものの、平均的なマイナーは約3カ月で投資を回収できるという。だが自宅での小規模運用では、報酬を得るまで、はるかに長い期間待たされる可能性がある。
香港の店主らによれば購入者の大半はロシアからだというが、西欧、アフリカ、韓国からも顧客が来るという。シンガポールには、運用コストの安い近隣諸国から買い手が訪れている。
彼らのマイニング用マシンの部品はアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)<AMD.O>やエヌビディア<NVDA.O>などのチップを用いて、主として中国で生産されている。両社とも、中国当局による暗号通貨マイニングに対する取り締まりが懸念される中で、輸出企業への販路拡大を模索している。
「ここ数カ月は以前よりも売上げが増大しており、在庫切れになることも多い」。シーベース・コンピューターのグラント・マク氏は、マイナーたちが他国に移転し、大量の部品が中国から流出するなかで、そう語った。