10代女性をターゲットにしたスクエニの「仮想空間」型コミュニティが始動
スクウェア・エニックスは、100%子会社のスマイルラボを通じて開発したPCベースの新しいネット上コミュニティサービス「Nicott Town(ニコッとタウン)」を開始した。同サービスは、ニフティとの業務提携によって実現したもの。8月期間限定のお試し版(α版)サービスの反応も良好だったことから、9月29日より正式サービス開始に踏み切った。
「ニコッとタウン」は、10代の女性をメインターゲットとする仮想生活空間仕立てのコミュニティサービス。ただ、「セカンドライフ」などのように3Dソフトをダウンロードするタイプのバーチャルワールドやロールプレイ型のオンラインゲームとは違い、Webブラウザでも動くアドビ・フラッシュ・プレイヤーを採用している点が特徴だ。特別な操作をしなくても、誰でも参加できるコミュニティを目指している。「当社(スクエニ)は閉じた世界でのハイクォリティなゲームの製作を得意としているが、ニフティと組むことで、よりオープンなエンターテインメントビジネスの可能性を探りたい」と、スクエニの和田洋一社長は言う。
他のコミュニティサイトとの最大の差別化ポイントは、「かわいいアバター」。「バーチャルワールドとしては最後発でもあり、最高のクオリティを追求した」(伊藤隆博・スマイルラボ社長)という。なかでもアバターのデザインにはこだわりがあり、あえて2次元・手書きの手法を採用した。「うちのアバターの最大のポイントは目。目を見ただけでニコッとタウンのものと認識できるよう、400パターン以上デザインを考え、その中から厳選した」(伊藤社長)という。
α版の期間中(15日間)の会員数は6000人で、男女比率は4:6、女性は10代がメインで男性は30代が中核、とほぼ予想どおりの結果だった、という。
同サイトの収益モデルは一般のオンラインゲーム同様に、アバターや家具など、画像アイテムごとの課金収入をメインの収益源と想定しているが、当面は無料サービスが中心。ブログやチャット、ゲームなどは原則無料のポイント制にして、そのポイントをためて無料コインに交換してアイテムを買えるようにしている。その一方で、レアアイテムなどを直接購入するための有料コインも10月末以降導入の予定。「時間がない人でも、お金をつかって楽しんでもらえるように」(同)と、どちらの通貨でも楽しめる仕掛けを考えたいという。事業的な可能性としては、アバターのOEM開発や、異業種企業とのネット上での提携なども検討中だ。年内はPC版のサービス拡充を優先、来年以降は携帯電話向けの展開も視野に入っている様子だ。
「年内に15万人くらいの会員獲得が目標」(伊藤社長)というが、現時点ではまだ具体的な収益の数値目標を掲げることはしていない。「最終的には収益化を目指すが、顧客の反応をみながら、どう発展させていくかを考えるのが自然な流れだろう」(和田社長)という。
(勝木 奈美子 =東経オンライン)
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