東京「常盤橋」に歴代ゴジラが大結集したワケ シン・ゴジラで生まれた日本一のビルとの縁

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これまで、工事現場を覆い隠す仮囲いの装飾には、植樹のペイント画を描いてみたり、子どもたちの図画を飾ってみたりと、“環境に配慮しています”という工夫が凝らされていることが多かった。

ただ、こうした装飾は手間がかかる割に素通りされることも多く、ネタの種類も限られており、実はゼネコン関係者を悩ます頭痛のタネでもあった。それを展示企画として生かす試みは珍しい。

常盤橋プロジェクトは、国家戦略特別区域の認定事業として段階的に進められている一大プロジェクト。竣工時の2027年には日本一となる高さ390メートルの高層ビルなど4棟で構成される計画だ。

『シン・ゴジラ』の劇中で、東京駅から望むビル群に、この日本一のビルが登場することから、この企画が決まったという。

シン・ゴジラと新ビルの共通性

この2月20日には常盤橋プロジェクトのうち第2の核となる、高さ212メートルの複合ビルA棟の起工式も執り行われた。常盤橋プロジェクトは2017年4月から下水道ポンプ所をメインとするビルが着工していたものの、これから約9年の歳月をかけて進められる事業がついに本格始動したことになる。

A棟はオフィス、店舗から成る複合ビルで、東京メトロ東西線・大手町駅と直結する。竣工は2021年4月が予定され、建ったときには日本橋口界隈でいちばん高いビルとなる。このビルだけで約8000人の就業者が見込まれている。ビルの入居者には、指紋認証による入退出時の管理や決済など、ICTサービスが導入される予定だ。

また、約3000平方メートルの広大な広場を有しており、大手町、日本橋、神田の結節点に位置することから、多くの来訪者が期待できる。

「『シン・ゴジラ』は現代が抱える課題を解決する映画だった。常盤橋プロジェクトが提供するビルも現代の働き方に解決策を提示したい」と、三菱地所の平井幹人・常盤橋開発部長は照れながらも、そう語った。

ゴジラの展示企画は2019年1月末までの予定だが、これに続く第2弾は「まだ何にするかは決めていない。これからじっくり考える」(平井部長)とのこと。A棟竣工の2021年まで、周辺のにぎわいを創出する企画を続けてほしいものだ。 

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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