同大の企画部広報課長の志鷹英男さんは「PBL教育の草分けであるプロジェクトデザインの授業を1995年から始めています。しかし、この授業を進めていくには、数理や専門基礎力が必要です。技術者として、イノベーションを創出していくために、基礎・基本はおろそかにできないのです。これをしっかり身につけることで、今後、目まぐるしく変わる技術革新にもついていけるし、企業からも評価され、就職のよさにつながっているのでしょう」と言う。
大澤敏学長の方針もあって、今は学生同士の得意分野の“教え合い”に力を入れている。理解を深めるには、ディスカッションやプレゼンテーションより、人に教える方が身につくというのが理由だ。
2位は東北大学、3位は武蔵大学と続く。以下、4位国際教養大学、5位明治大学、6位立命館大学の順となった。
産業能率大や学習院大が評価上昇
比較的小規模な大学が多いのは、学生に目が行き届いているからだろう。その一方で、明治大学や立命館大学など、大規模総合大学も入っている。スケールメリットを生かした学生支援制度が充実していることが理由とみられる。首都圏の高校の進路指導教諭は「面倒見がよい大学は、学生の力を伸ばすことができる大学で、そのニーズに応えることを実践した大学」との見方で、大学の規模は関係ないようだ。
2位の東北大学については、「比較的少人数教育で、学生の能力伸長に尽力している」(埼玉・県立高)、「AO入試制度が定着し、やる気のある学生に質の高い教授陣が教えていること」(栃木・私立高)などの評価だ。
3位の武蔵大学は、“ゼミの武蔵”と言われるほど、ゼミナール形式の授業で有名だ。このゼミナールは少人数教育で、同大学は昔から実践している。進路指導教諭の評価も、ゼミと少人数教育についてのコメントが多い。「ゼミ、学生センター、教員など、多方面から学生へアプローチして指導し、面談の機会も多い」(東京・私立高)、「学生一人ひとりに注視している点」(東京・都立高)などだ。ゼミナールは双方向の授業で、今でいうアクティブラーニングである。
この分野では、アクティブラーニングが注目される以前から、7位の産業能率大学が大学の授業で実践しており、評価につながっている。
また、前年に比べて、順位を大きくアップさせた大学も少なくない。福岡工業大学は昨年の16位から8位へ、高知工科大学は33位から9位、秋田県立大学は50位から10位、学習院大学は56位から15位へと躍進している。これまでも面倒見がよかったが、それが広く知られるようになってきた結果といえよう。
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