韓国の若者が「南北統一」に嫌悪感を抱くワケ

親世代の価値観とはずいぶん違う

それでは、文大統領の支持率がこうした取り組みでどのように変化しているのか見てみよう。韓国ギャラップによると、1月中旬の支持率は67%だったが、1月下旬には64%に低下した。ちなみに、今年初めの支持率は73%だった。調査機関によると、支持率の低下は、若年層で特に著しく、これはこの世代において、南北共同のオリンピックチームを恥ずべき行為だと見る向きが強かったからだとしている。

支持率急落は、文政権の崩壊を示すほどではないし、低迷している背景には、「仮想通貨禁止令」などに対する反発も含まれている。とはいえ、後者についていえば、多くの若者――ビットコインなど仮想通貨の利用者でもある――が、クリーンな政治と経済的機会を掲げ当選した文大統領の政策に関心を持っていることがわかる。

北朝鮮に敵意すら持っている

それでもなお、文政権を支持しないとした若者の一部は、オリンピックの宴席に北朝鮮選手に複数席をオファーするという文大統領の熱意と明らかに関係している。12人の北朝鮮選手が韓国のホッケーチームに加えられた際、ある調査では、70%が不賛成と回答した一方、別の調査では、44.1%が反対、42.5%が支持、とより均等に分かれた。

これは、若い韓国人が北朝鮮に対して、嫌悪感を持っているか、あるいは、積極的に敵意を持っている傾向の一例である。2015年の牙山研究所の調査では、「若者の北朝鮮離れ」が過去5年間で「おそらく世論調査の最も重要なテーマである」とされた。「若者層は、同性婚のような問題については明らかに進歩的だが、ハードコアな安全保障問題については極めて保守的である」と結論づけている。

実際に、文大統領の支持率は、2017年8月に高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD=サード)の導入に同意した際は、高水準を維持していた。この選択は韓国で、72%の支持を得ていた。

北朝鮮に関する調査の信頼性にはつねに懸念があるが、こうした結果は、ほかの所見とも一致する。若い世代の韓国人が強硬派である理由は、彼らの北朝鮮観は、2010年に46人の乗組員が殺害された天安軍艦の沈没事件で、韓国が北朝鮮を非難した時代からつくられてきたからだ、と推論できる。同じ年には、北朝鮮の延坪島砲撃事件が起こり、北朝鮮は攻撃的な核兵器とミサイル実験計画を打ち出した。

加えて、国際化や厳しい経済状況における競争は、若い韓国人が世界でどのような位置づけにあるのかを認識させる要因となっている。20代の若者が、彼らの両親世代が20代だったときよりも、生きることが色々な意味で難しくなっていることは確かだ。彼ら自身が経済的に困窮していることもあって、北朝鮮に対して軽率に財政援助を行うことには抵抗がある。苦労して勝ち取ったホッケーの代表チームの選手という座を、北朝鮮人に与えることに賛成していない若者も数多くいる。

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