五輪会場と空港を直結「韓国高速鉄道」の実力 開幕に間に合った「KTX京江線」開業

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平昌駅に到着するKTX‐山川(筆者撮影)

車両は、2009年より導入された現代ロテム社製のKTX-山川(サンチョン)の改良版140000形が15編成投入されている。前後に電気機関車、その間に8両の連接型客車を連結した10両編成で、最高時速250kmで運転する。山川とは、機関車前面の形状がどことなく淡水魚の「ヤマメ」(山川魚)に似ていることからネーミングされた。

客車は特室(1等)1両、一般室(普通車)7両で編成定員は408名。8号車の一般室のみ自由席で、それ以外は指定席車となっている。初代車両のKTX-1は座席が車両中央向きに固定された「集団見合式」でシートピッチも狭かったが、KTX-山川では座席の方向転換も可能となり、シートピッチも50mm広い980mm(一般室)となった。特室は1+2席の座席配置で、シートピッチは1120mmとさらにゆったりと過ごせる。ペットボトルのミネラルウォーター、新聞やおしぼりなどのサービスもある。

特室、一般室ともFree Wi-Fi、電源コンセントが完備され、天井の液晶モニターで各種の情報や停車駅案内などが英語と日本語でも放映されている。ビュッフェコーナーは廃止されたが、飲料などの自動販売機が3両に設置されている。実際に乗車してみると、揺れや振動も少なく乗り心地もよかった。

五輪輸送の主役として

平昌オリンピックのラッピングを施した車両(筆者撮影)

間もなく開幕する冬の祭典。KTX-山川の前後の機関車にも、オリンピックロゴや公式マスコット「スホラン」と「バンダビ」をラッピングしてムードを盛り上げている。

オリンピック競技19種目のうち、江陵ではフィギュアスケートなどの室内競技6種目が5会場で、珍富(五臺山)周辺ではジャンプなど11種目を6会場、平昌ではスノーボードなど2種目が1会場で開催される。競技種目により下車駅が異なるので注意が必要だ。開催中は各駅から無料シャトルバスがピストン運行される予定だ。

KTX京江線は、オリンピック開催地への主要なアクセス手段としての役割はもちろん、開業により江原道での開発を含めて8兆6997億ウォン(約8700億円)の経済効果が予測されているという。

新しい高速鉄道が、世界中から集まる選手や観客輸送の要としての役割を果たし、地域の発展に効果をもたらすことを期待したい。

三浦 一幹 トラン・デュ・モンド代表

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みうら かずみき

1960年東京生まれ。世界の鉄道フォト・ライブラリー「トラン・デュ・モンド」代表。世界各国の鉄道取材・撮影にあたる。海外鉄道研究会、日本旅行作家協会会員。

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