まだある!マンション「共用部」が超絶進化 「住むだけで健康になる」物件も登場

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作るからにはと、土にもこだわった。マウンドは神宮球場や福岡ヤフオクドームなど、プロ野球でも使われているものだ。仕掛けはマウンドだけではない。多用途で使える空間を意識し、ホームベースからマウンドまで人工芝を敷き詰めた。そのもくろみは当たり、キャッチボールだけでなく、バトミントンをしている親子もよくみかけるという。

「パークホームズ赤羽西」にはボルダリングルームもある(記者撮影)

入居者も年を取る。子どもたちが小さいうちはいいが、長ずるにしたがってマウンドが小さすぎて見向きもされなくなる可能性は高い。時間が経過すれば無用の長物と化すのではないかとの懸念もある。

しかし、マウンドは土を固めただけのもの。メンテナンス費用や解体に莫大な費用がかかるわけではない。スコップで掘り返せばすぐに元に戻せる。使う住民がいなくなれば、管理組合が率先して平らにならせばよい。

住む人にとって価値あるものと考え作ったマウンド。思いはムダではなかったようだ。休日の昼間などには、笑顔がこぼれる親子の姿が見られる。

企業と提携しライブラリーを設置

最近、共用部でひとつのブームとなりつつあるのがライブラリー(図書館)だ。昔は装飾品として本が置かれることが多かったが、今はあくまで実用を兼ねた施設と位置づけられている。

2017年10月に全棟が竣工し、現在も販売中の総戸数630戸超となる東京・大田区の「プラウドシティ大田六郷」。ここに設置されたライブラリーは、中古本販売首位のブックオフコーポレーションと提携して運営されている。

「プラウドシティ大田六郷」に設置されたライブラリー(写真:野村不動産)

仕組みはこうだ。1世帯当たり月90円の管理料で、月に約20冊の雑誌と3カ月に約50冊の書籍を購入する。貸し出しアプリを活用して、メンテナンス費用ゼロで蔵書の管理を可能とした。その結果、読まれない本、貸し出された形跡のない本が履歴となって残り、不要となった本をブックオフが回収する。

最初は7000冊からスタートするが、入居者のリクエストに応えつつ、将来は1万冊の蔵書を目指す。あまり知られていないが、ブックオフは新刊書店の青山ブックセンターも展開しており、本の選定は同センターがアドバイスする。たとえば共有部にあるランドリー室には気軽に読める本、カフェテリアにはじっくり落ち着いて読める本といった具合だ。

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