「管理職1年生」が陥りやすい部下育成のワナ

できない部下の育成は「メリット」次第

下位人材の成長を支援して「底辺アップ」を図ることよりも、上位人材のより一段の成長を支援する「頂点アップ」を優先させるほうが、チームの成果の最大化につながるケースがあります。

個人プレーはときに組織プレーより稼げる

たとえば、チームの命運を左右するような大型案件獲得のための営業活動などに、その傾向がよく見られます。

これまでモノを言ってきた系列関係や、過去のしがらみの上に立つ有意性は、その効力をほとんど失ってきています。外資系を含めた競合他社を相手にして、「それでも当社を選ぶ理由」を顧客の心に突き刺す営業活動が必要です。それも、形式的な決裁権限を持った人ではなく、実質的にものを決める力を持ったキーパーソンの心をつかむ必要があります。

このような場合、並の力のセールスから成る5人の営業チームよりも、突出した営業センスで相手の懐深く食い込むことができる1人のスーパーセールスの存在が、案件獲得を成しえることがあります。個人プレーが組織プレーに勝つことが頻繁に起きるのが現実です。

あるいは、私が日米の両企業で長年働いてきた資産運用業界でも、継続的に高い運用成績をたたき出す1人の傑出した能力を持ったファンドマネジャーの存在が、その会社の業績を飛躍的に伸ばすことがありました。やはり、並のファンドマネジャーが束になってもかなわないような、卓越した洞察・分析力と判断力がビジネスを決めているのです。

特定分野の高い専門知識と専門スキルが必要な研究開発の仕事や、専門性に加えて対人能力やマネジメント能力が複合した、総合的な業務能力水準の高さがモノを言うコンサルティングなどの仕事についても、同様のことが起きえます。

このようなビジネスでは、上位人材の成長を徹底的に支援して、チームとしての能力の「頂点アップ」を図ることが優先課題となります。具体的には、①より厳しい業務目標、②裁量範囲の拡大、③管理職自身による業務を通じたトレーニングなどが基本的な育成方針になります。

チームの中で管理職自身が頂点人材であれば、自らプレイヤーとしてビジネスを牽引すると同時に、次の頂点人材の育成に優先的に時間を使えばよいでしょう。

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