「管理職1年生」が陥りやすい部下育成のワナ できない部下の育成は「メリット」次第

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組織間の横移動で管理職になり、部下の中に自分より実務遂行能力に優れた人材がいる場合、対人交渉力や洞察力・企画力など自分が得意な分野の業務スキルを伝えることで、ひとまわり大きなビジネスパーソンとしての成長を支援します。あるいは、社内外の一流のビジネスパーソンとの接点を作るなどして、「自分はまだまだだ」ということに気づかせ、向上意欲に火をつける機会を与えることも重要です。

下位人材の育成を優先すべき場合とは?

もちろん、すべてのビジネスについて、上位人材の育成を優先すべきだというわけではありません。仕事の内容によっては、下位人材の育成を優先すべき場合もあります。

大切なことは、担当している仕事の性格を理解せずに無方針で人材育成に臨んだり、あるいは、「上位人材は放っておいても成長する」「2-6-2の法則(どのような組織でも、優秀な上位2割、普通の中位6割、ダメな2割のメンバーから構成されるようになるという経験則)で分布するボリュームゾーンの6割の人材育成に注力すべきだ」「下位人材の底辺アップこそが大切だ」など、巷にあふれる一般論に影響されて思考を止めてはいけないということです。

あくまでも、目の前にある自分のチームの特性を踏まえたうえで、成果の最大化のために優先させるべき人材育成の方針を自分で判断すべきだということです。

ちなみに、下位人材の育成を優先すべき仕事とはどのようなものでしょうか。たとえば、1人のミスが全体の仕事に影響を及ぼすような性格の仕事です。そのミスによってチームのアウトプットがガタガタになるからです。

厳格な安全対策が不可欠な工事現場や、命に関わる医療の現場、公共交通機関の運転手やパイロットなどがその例で、下位人材の能力レベルが最低要求ラインを超えるための「底辺アップ」が優先課題となります。定期的な能力チェックや技能向上のためのトレーニングに多額の予算をかけている企業も少なくありません。

あるいは、下位人材がボトルネックになることで全体のアウトプットに悪影響を与えるような性格の仕事においても、「底辺アップ」を優先させることが理にかなっています。分業によって成り立っている生産ラインや、担当しているタスクの間に依存関係があるようなプロジェクト案件などがその例です。

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