新しい発想のハリネズミ店が人気を呼ぶ理由 動物の商売は健康管理が難しいというが…
店内中央には、1.5メートル四方ほどの空間に、“ハリネズミの暮らす街”が配置されている。ドールハウス作家・谷本明子氏の作品がそのまま、ハリネズミのケージとなっているのだ。
取材に訪れたのがちょうどクリスマスシーズンとあって、ミニチュアのツリーも飾られていた。自分自身が小さくなってそのまま暮らしたくなるような、メルヘンチックでしかも細部までリアルに再現された世界が繰り広げられている。
谷本氏を選んだのは、作風がイメージにマッチしていたこともあるが「ハリネズミに害のない接着剤を使う」などの、条件を汲んでくれたことも大きかったそうだ。
店内周囲の壁に沿って、より小さなケージを配置。こちらは谷本氏の作品ではないが、和室やダイニング、“教室”など、テーマ性のあるドールハウスになっており、それぞれ2匹のハリネズミの居住スペースとなっている。
ケージにも工夫がされている
ドールハウスとして観賞用も兼ねるのだから当然だが、ケージはガラス張りで、さらに、前面のガラスを取り外すことができる。お客がハリネズミと触れ合いたいと思ったときに、スムーズに取り出せるように工夫されているのだ。「これはハリネズミのストレスを和らげるためでもあります。上から近づくものには、ハリネズミは本能的に恐怖を感じますので」(清水氏)。
全体では40匹ほど飼育しているが、店頭に出しておくのは10~20匹で、時間も4時間ほど。あとの時間はバックヤードで休ませる。1日20時間は眠る必要があるそうだ。
「自分自身は自宅で飼えないのですが、カフェをやろうとなったときに、知り合いに飼ってもらって、ハリネズミの生態を研究しました。スタッフは7人いますが、皆ハリネズミ飼育の玄人です。10年以上飼っている人もいます」(清水氏)
実はハリネズミは、人が触れるぐらいに慣らすには訓練の必要があるそうだ。ブリーダー経由で、慣れた状態のハリネズミを仕入れる場合もあるが、卸業者から買い取り、スタッフが訓練する場合もあるという。「ですから、当店の接客係はハリネズミ。スタッフはお世話をする飼育係です。それで、社名を“飼育係”としました」(清水氏)。
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