新しい発想のハリネズミ店が人気を呼ぶ理由 動物の商売は健康管理が難しいというが…

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料金設定は30分1300円、60分2500円。おやつは400円だ。飲み物はサーバーから自由にとってもらう仕組みなので、スタッフの手間もかからず、コストも低く抑えられる。「初期投資が多少かかりますが、普通の飲食店をやるより数倍の利益が見込めます」(清水氏)。

静かにハリネズミとの触れ合いを深める客たち。女性がメインだが、男性の1人客なども訪れ、客層は幅広い(筆者撮影)

客層は20代前半の女性がメインで6割程度。あとは女性同士や、カップルの客が多い。しかしなかには30~50歳代の男性1人客や、20代男子2人組など、予想外の客層も訪れるそうだ。現在のところ外国人は1割程度だそうだが、今後宣伝を海外に広げることで増加するのではと予想している。

「動物カフェは本来、外国人のお客が多いんです。動物と触れ合えるというサービスが海外にあまりない。それにハリネズミはヨーロッパで幸せの象徴とされており、人気がある動物です」(清水氏)

英語に堪能なスタッフも配置しており、準備も怠りない。

「ハリネズミを浸透させたい」

今後は、たとえば「遊園地」をテーマにするなど、コンセプトを変えながら、フランチャイズ展開も含め1~2年の間で全国に5店舗ほどを展開したいという。一時のブームで終わらせず、ペットとして猫、犬の次に、ハリネズミが挙げられるぐらいまで浸透させるのが目標だ。

「お客様の表情を見ると、本当に心から楽しんでいる、いいリアクションです。ハリネズミには人の心を和らげるようなところがあるように思います」(清水氏)

確かに、お客の様子を観察すると「キャー、カワイイ!」という陽性の感じではない。性別や、1人客か複数連れかにかかわらず「ウフフ……」と静かに微笑みながら愛でている人が多い。フォトジェニックでもあるところが、このSNS全盛の時代にブームとなっている大きな理由だろう。

ドールハウスとの組み合わせは秀逸だと言える。実際にハリネズミを手にのせてみると、ちくちくしていてややもすると痛いのだが、だからこそ、小さな体で一生懸命生きているけなげさを感じる。手のひらにのせているお客が皆、黙りがちなのもうなずける。現代人の心をとらえる、新たな魅力と言えるかもしれない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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