留萌まで戻り、札幌へ向かう特急の中で「にしんおやこ弁当」を食べた。身欠きにしん2切れ、大きな数の子2切れ。数の子のプチプチとした食感が楽しい。しょっぱくもなく、ちょうどいい塩梅でダシの味が効いている。にしんは小骨が多いが、よく煮込まれているのでそのまま全部食べられる。そばにのっているにしんは甘露煮だったが、またそれとは全然違うものだ。そして増毛の國稀酒造で買った日本酒との相性は最高であった。
この日の宿は函館なので、札幌駅を経由して函館駅に向かう。函館の駅弁といえば、「鰊みがき弁当」だ。こちらは大きな数の子が3切れ。にしんは半身1匹分を3等分にしたものが入っている。身はやわらかくてホロホロだ。にしんは苦味と甘露煮の甘さが共存していて、ケシの実の粒がアクセントとなっている。塩気の効いた数の子とにしん、そしてご飯を一緒に食べたときのバランスがとても良く、大人の味だと感じた。
現地ならではの駅弁は「文化」だ
まだまだある北海道の駅弁、ほんの一部ではあるが急ぎ足で紹介した。
北海道の鉄道をめぐる状況は、現在なかなか厳しい。3月の時刻改正でどうなるかはまだわからないが、それによって駅弁の売れ行きにも大きな影響が出るのは間違いない。旅には欠かせない「駅弁」という文化が廃れることがないように、できれば旅先では、その土地ならではの駅弁を手に取ってほしい。
現在開催されている新宿京王百貨店の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」(以下、駅弁大会)では、今回紹介した全てではないが、かなりの数の北海道の駅弁が販売されている。たとえば最近、東京駅近辺でも見るようになった厚岸(あっけし)駅の「氏家かきめし」。厚岸駅前の調製元、氏家待合所まで行くのは大変だが、現地でしか買えない「氏家かきめし海鮮ミックス」も今ならここで買える。
駅弁大会はこの後、大阪の阪神百貨店、熊本の鶴屋百貨店と続く。遠くの駅弁が近所で手軽に買えるのが駅弁大会の最大の魅力。興味をもった駅弁があれば、ぜひ駅弁大会で買って「予習」、そして実際に行ってみて「復習」してほしいと思う。私自身もこれからも旅先で駅弁を食べることはもちろん、機会がある度に漫画や文章で駅弁を応援していくつもりである。
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