深夜の「満員電車ゼロ」なら簡単に実現できる 東京の鉄道「終夜運転」も難しい話ではない
終夜運転で有名なニューヨークの地下鉄は、両方向2線ずつの複々線で建設され、深夜はその内の2線で運行、残り2線は保守作業としている。そのため、保守作業を行いながら終夜運転することが可能だ。
東京圏でもやり方次第では可能だ。JR東日本では東海道・中央・東北・常磐・総武の各線が、それぞれ小田原・三鷹・大宮・取手・千葉まで複々線化以上となっている。たとえば、中央線の御茶ノ水-三鷹間は2線を保守作業、2線を終夜運転させることができる。また、山手線の内回りと外回りは運転系統としては独立であり、1日おきにどちらかを終夜運転できる。
ただし、列車運行する隣接線で、重機の使用も含む保守作業を行うことになるので、充分な安全策が欠かせない。
線路改良で終夜運転をもっとスムーズに実行する
日本の鉄道の複線以上の線路は一方向にしか走行できない路線がほとんどだ。しかし、どちら向きにも走行できるように信号システムを改良し、数駅おきに上下線を行き来できる渡り線を入れ、運行本数の少ない深夜は単線運転とすれば、ほぼ毎日終夜運転できるようになる。
ここで「ほぼ」と書いたのは、渡り線を保守する日を確保しなければいけないからで、それは終夜運転ニーズの少ない日曜や祝日の晩に設定すればよい。
多額のコストはかかるが、複線にさらに1本増やして「3線運行」とすれば、より大きな効果を生み出せる。1線だけ増やして3線とし、朝ラッシュは上り2線、下り1線、夕ラッシュは逆に下り2線、上り1線とすれば、複々線とほぼ同じ輸送力を実現できる。道路のリバーシブルレーンと同様だ。昼間は3線使う必要はなく、1線を保守作業に当て、それを日によってローテーションすることで、夜間の保守間合が不要となり、終夜運転をスムーズに実行できる。保守部門の夢である、昼間の保守作業も実現できる。
2016年4月に交通政策審議会から国土交通省に答申された『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』に、以下の複々線化の構想が掲載されている。
中央線 三鷹―立川
京王線 笹塚―調布
小田急小田原線 登戸―新百合ヶ丘
東急田園都市線 溝の口―鷺沼
3線化のコストは複々線化よりはるかに低い。複々線化を3線化に改めることで、事業費を縮減でき、開業時期を早められ、終夜運転に対応でき、保守作業を昼間にできるようになる。
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