パキスタン南西部の小さな港町に賭ける中国 グワダルへの巨額投資の落とし穴

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だが中国政府の異例な太っ腹ぶりに対し、グワダル投資は海洋における米国の優位に挑戦するために中国が画策する将来的な地政学的戦略の一環ではないかと、米国とインドは疑念を募らせている。

「中国の多くの人々にとって、長期的にグワダルが単なる商業的な対象ではないことを示している」と中国・パキスタン関係について著書もあるスモール氏は語る。ロイターはこの件について中国外務省にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

グワダル港を貨物積み替えのハブへ

グワダルは「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」の要石になると両国政府は考えている。CPECは、アジア、欧州、アフリカの60カ国にまたがる陸上と海上の交易路として新たなシルクロードを築こうと目論む中国の「一帯一路」構想の主要部分を占めている。

写真はグワダルの港。10月撮影(2018年 ロイター/Drazen Jorgic)

この計画ではグワダル港を貨物積み替えのハブとして変貌させ、経済特区と隣り合わせる巨大な港湾を建設、そこから輸出産業が世界各地に製品を出荷することを目指している。エネルギー資源用パイプラインや道路・鉄道網によって、この港町は中国西部地域と接続される。

港湾貿易量は2018年の120万トンから、2022年には約1300万トンに成長するとパキスタン当局者は期待する。港湾には新たなクレーンが3基据え付けられ、来年には浚渫(しゅんせつ)工事によって、港湾の水深は5カ所の埠頭で20メートルに達する予定だ。

だが、純然たる課題も残っている。

グワダルでは上水道が利用できず、停電も日常茶飯事だ。反体制的な分離独立主義者がこの中国プロジェクトに攻撃を仕掛ける可能性も示唆している。また、この町を含むバローチスターン州は豊富な鉱産資源を有するが、依然としてパキスタン国内における最貧地域だ。

治安状態は厳しく、中国人など外国からの訪問者は、兵士や武装警察の車列とともに移動している。

中国政府は、同州民が部外者に対して抱く不信感を取り除こうと努めている。現地のバローチ族は、他の民族集団や外国人の流入を警戒している。住民の多くは、変化のペースが遅すぎると語る。

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