パキスタン南西部の小さな港町に賭ける中国 グワダルへの巨額投資の落とし穴

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人口10万人に満たないグワダルに対し、中国は2014年以来、総額8億ドルに上る無償資金協力と譲許的融資を約束。それ以前の15年間に、人口2億700万人を抱えるパキスタンの国全体に向けて中国が提供した援助総額は約24億ドルだ。

「中国のパキスタンにおける過去の行動を基準にしても、グワダルは突出している」とパークス所長は語る。

心をつかむ

グワダル住民の心をつかもうとする中国側の努力が実りつつある最初の兆候が現れている。

「バローチスターン州は遅れており未開発だ。だが中国が進出してきてから、開発が進んでいる」。そう語るのは、食料品店を営む45歳のSalam Dashtiさんだ。2人の子どもは、中国が建設した新しい小学校に通っている。

だが、先行きには大きな落し穴も待ち構えている。

港の近くで暮らす数万人の人々は移転を強いられるだろう。

彼らは今のところ細い半島にある、潮風に侵食されたコンクリート製の粗末な平屋で暮らしている。裸足の漁師たちが、ゴミの散らかった新たに舗装された道路で獲物を下ろしている。漁師の多くは、港湾が稼働し始めたら生計を立てられなくなるのではないかと心配している。

地元住民が、少数派に転落するのではないかと懸念するのも無理はない。今後数十年でグワダルの人口は15倍以上に膨れあがると予想されているのだ。町の端では、土地投機業者が建設するマンションが砂丘の脇に次々に出現している。

これまでのグワダル港湾開発プロジェクトが失敗してきた理由の一端が、バローチ族の分離独立主義派による治安上の脅威にあることを中国は認識している、とアナリストは分析。バローチスターン州の搾取が中国の狙いだと主張する反体制派の言説に中国は対抗しようと試みているという。

「このことが中国人の心に重くのしかかっている。地元住民の支持を高めることによって自らの投資を守ろうとしているのは、ほぼ真実だと言えるだろう」とパークス所長は語る。

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