優秀でも「なぜかできない人」の目標の立て方 高いレベルを目指せば「必ずできる」に近づく

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このように意味のある水準を設定し、それを適切に定量化した目標はパワフルだ。

そうしたゴールを達成すれば、大きな成果や価値を手に入れられることは明らかだし、目標自体の説得力も確かなものになる。また、ゴールに向かってかかわるメンバーが納得して取り組めるので、エネルギーや一体感も増し、成功の確率も高まっていくだろう。

目的と目標は「書いて」チームで共有する

理不尽に思えるほどの高いレベルの目標、意味のある水準の目標を設定したら、それを明文化しよう。

当然ながら、目標にたどり着けないことはある。理由はさまざまだが、意外に見落としがちなのが「チームでゴールを共有できていない」という敗因だ。

「こんなことを依頼した覚えはない」「そんなことは聞いていない」というのは、どこの会社でもよくあるやり取りだと思う。指示した上司と指示された部下の間で、「目的と目標を明確にし、共有する」というひと手間を怠ったために、ムダな努力や非効率な仕事が生じるケースは数知れない。

そこで効果的なのが「書く」というシンプルな方法だ。具体的に書くためには、内容が明確で自分の思いも定まっていなければならない。逆に言えば、書くという動作は自分の考えを強制的に明確にする働きがある。つまり、定まっていない自分の決心をつけるために、「書く」ことは非常に有効な手法となる。

目的と目標は必ず書き出すことを習慣とし、訓練として自分に課すといい。

書くといっても、「レポートにする」「ちゃんとした書類でなければならない」のではない。人に見せて確認をし、そこから議論できれば十分だ。

あなたが目標を設定する上司やリーダーの立場なら、それを明文化して、部下やチームや関連部門にシェアしよう。あるいはあなたが部下の立場で、リーダーや上司から目的や目標を口頭で伝えられたなら、自分なりに書き出して「こういうことですか?」と確認しよう。

そうすることでお互いの認識や考えの相違がはっきりするし、正しく目的や目標を共有できる。目的や目標を共有できれば、自ずと「必ずできる」可能性も高まる。

ストレッチ思考が目指すのは、実のところ「高い目標」自体でなく、それを実現するための「発想の広がり」だ。だから、仮に目標を達成できなくても決して無駄にはならない。

非常に高い目標を掲げ、アンリーズナブルな高い水準を目指すことで、これまでになかった発想が広がる。発想を広げてこれまでとは違う水準に挑戦すれば、改革や成長につながる。個人にとっても組織にとっても大きな収穫が生まれるのだ。

山梨 広一 元マッキンゼー・シニアパートナー

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やまなし ひろかず / Hirokazu Yamanashi

1954年東京生まれ。東京大学経済学部卒業。スタンフォード大学経営大学院(経営学修士)修了。富士写真フイルムを経て、1990年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。1995年からパートナー、2003年からシニアパートナー。小売業、消費財メーカーおよびその他業界の企業の戦略構築や組織改革、マーケティング、オペレーション改革など、マッキンゼー日本支社において最も豊富なコンサルティング経験を有する。2010~2014年まで、東京大学工学部大学院TMI(技術経営戦略学専攻)で「企業戦略論」の講座を指導、また同大EMPにて「消費論」の講義を行っている。2014年、マッキンゼー退社後、イオン株式会社執行役を経て顧問。2016年から株式会社LIXILグループ取締役、東京都顧問、マッキンゼーシニアアドバイザー。著書に『プロヴォカティブ・シンキング 面白がる思考』『シンプルな戦略 戦い方のレベルを上げる実践アプローチ』(ともに東洋経済新報社)、『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』(ダイヤモンド社)、『3原則 働き方を自分らしくデザインする』(SBクリエイティブ)などがある。

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