一晩置くと味がなじみ、購入当日とはまた違う風味が楽しめるが、驚くのは、冷凍したものの味わい。レンジで解凍すると、ふわふわ感が見事に再現される。当初人気が出始めたのは、この点が口コミで広まったことも大きいらしい。
蜂蜜のやさしい甘味もあるのでそのまま食べることができ、おやつとして買う人も結構いそうだ。卵不使用のため、卵アレルギーの子どもでも食べられるところも支持されるポイントの一つだろう。
筆者夫婦(30代)、息子(5歳)、母(65歳)は、おやつとして厚めに切ったものを大皿に置き、各自好きなだけとるスタイルでいただいたが、おしゃべりしている間に気づけば1.5斤がなくなった。残りは、翌朝の朝食時、「だって美味しいんだもん」と言いながら息子がほとんどたいらげた。「ワインに合いそうなハード系のパンしか食べたくない」という人でない限り、おそらくかなりの人が美味しいと感じる食パンかもしれない。
プロレスの老人ホーム慰問がきっかけ
この食パンが誕生したきっかけは、阪上代表のお年寄りとの交流にある。実は、阪上代表は、22年間飲食業界に携わる傍ら、2007年からは大阪プロレスの会長も務めている。その老人ホームへの慰問活動の中で、「お年寄りの楽しみは、食べることと笑うこと。やわらかいものが好きで朝食はパンが多いけど、耳は硬くて食べにくいと感じている」ことを知ったという。
子どもが卵アレルギーで卵不使用のパサパサのパンを食べていたこともあり、ひらめいた。子どもからお年寄りまで喜んでもらえる「耳までやわらかいおいしいパン」を作ろうと思い立ったという。長年の飲食店経営の経験から、「やわらかくて甘いもの」は流行の定番であると感じていたこともあり、実現できれば必ずヒットすると思ったそう。
しかし、飲食の経験が長いとはいえ、パン作りは素人。理想のパンが完成するまでに2年もかかった。目指すやわらかさがまず常識外なので、パン職人は最初から雇わず、独自に焼き時間やこね方、こねる時間などを試行錯誤したという。
そして遂に、焼きあがった時に潰れずギリギリ立つ「腰折れ寸前」のやわらかい食パンを実現。最大の鍵は、「材料の組み合わせ」にあるという。オリジナルの粉は、阪上代表ともう一人の社員しか知らない黄金比率でブレンドされている。
カナダ産の最高級小麦をはじめすべて高級食材を使っているというが、一つでも違う材料に変えたら同じものはできないし、いつもの材料であってもたまたまコンディションが違っていたりするとうまく焼きあがらないこともあるそうだ。
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