2018年に日銀は出口への一歩を踏み出すのか 年後半に長期金利の誘導目標を引き上げ?

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これに対し、リバーサル・レート論ではなく、物価が上昇するため政策変更に動くと予想するエコノミストも出てきている。

日銀が掲げる2%の物価上昇率目標には程遠いものの、日銀が消費者物価の基調を見ることができるとして重視している「日銀版コアCPI」(生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数)が2018年後半には1%まで上昇すると予想。

物価上昇によって、現在マイナス領域にある実質金利(名目金利から物価上昇率を差し引いた金利)がいっそう下がるため、YCCにおける長期金利の誘導目標を引き上げる余地が出てくるのではないか、という見方だ。

物価上昇で実質金利が下がりすぎるため

日銀出身であるJPモルガン証券チーフエコノミストの鵜飼博史氏は「強い引き締め効果をもたらすオーバーナイト金利の変更は2%目標を達成するまで行わないが、10年金利については緩和効果が大きくなりすぎないように、調整していくと考えられる。2018年7月にフォワードガイダンスを出して、市場に日銀の考え方を周知させた上で、9月と12月に長期(10年)金利のターゲットを0.25%ずつ引き上げるのではないか」と予想している。

鵜飼氏の見立ての根拠は次のようなものだ。日銀は現在の緩和状況を適切としているが、それは名目金利ゼロ%、中期インフレ期待が1%なので、実質金利はマイナス1%というものだ。これまでの経験上、物価が1%上昇すると、中期インフレ期待は0.5%ぐらい上昇すると考えられるので、そのとき、実質金利は0.5%分下がる。そのため、名目金利を0.5%引き上げるのが妥当だというものだ。

物価が1%まで上昇するという見方には「フィリップス曲線が生きている」という前提がある。フィリップス曲線とは、失業率とインフレ率の関係を表したもので、インフレ率が高い時には失業率が低くなり、逆にインフレ率が低い時には失業率が高くなる関係を示している。グラフの横軸に失業率、縦軸に物価上昇率をとると、右肩下がりの曲線を描くことができる。だが、日本だけではなく米国でも、失業率が低くなって完全雇用の状態になっているのにインフレ率が上昇しないため、フィリップス曲線が本当に妥当なのか、議論の的になっている。

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