どんな出来事があった?「2017年の鉄道業界」 豪華列車が話題を呼ぶ一方でトラブルも多発

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自然の脅威が各地で鉄路に被害を及ぼした一方、2017年は鉄道施設のトラブルによる長時間運転見合わせなども目立った。特に社会に衝撃を与えたのは、12月11日に発生した新幹線「のぞみ」の台車トラブルだ。最高時速300kmで走行する新幹線の台車枠に14cmもの亀裂が生じ、あと3cmで破断の恐れもあった。国土交通省は、事故が発生する恐れがある事態として、新幹線としては初の「重大インシデント」に認定。運輸安全委員会による調査が続いている。

このほかにも、2017年は特に電気関係のトラブルが各地で目立った。主なものを挙げると、2月14日にJR東海道線の横浜―戸塚間で架線から火花が出て一時運転を見合わせる事態が発生。5月12日には京急電鉄の生麦駅構内で架線切断、6月21日には東海道新幹線の京都―新大阪間で架線と架線の境目にあたる「エアセクション」に列車が停車したことにより架線が発熱、放電が発生し断線。7月26日にはJR琵琶湖線の瀬田―石山間でもエアセクション区間で架線が切れた。9月5日には埼玉県内にあるJR東日本の変電所でトラブルがあり、首都圏の7路線が一時停電した。

10月19日には東急田園都市線の三軒茶屋駅で停電が発生、同23日にはJR宇都宮線の東鷲宮駅構内で架線を吊る絶縁部品の碍子(がいし)が老朽化により破損して漏電、周辺の信号機器などを損傷し、運行正常化まで2日を要する事態に。11月15日には再び東急田園都市線で停電が起きた。12月12日には東武野田線とJR東海の東海道線で、同16日にはJR京浜東北線でパンタグラフを破損する架線トラブルが発生。同23日にも東京メトロ南北線が架線トラブルで早朝から昼ごろまで運転を見合わせた。

2018年は平和な年に…

国交省は相次ぐ鉄道のトラブルを受け、12月20日に鉄道各社の安全管理担当者を集め緊急会議を開催した。石井啓一国土交通大臣は前日の会見で、これらのトラブルについて「設備の老朽化・複雑化に加え、現場要員の高齢化や若手技術者の不足等の構造的な問題もあると考えられる」と指摘し、対策を講じていくと述べている。

豪華列車の登場など華やかな話題も多かったものの、年末に多発したトラブルにより鉄道への信頼がやや揺らいだ中で幕を閉じる2017年。だが、今日も明日も鉄道は休むことなく動き続け、人々の生活、そして日本経済を支えている。新年、2018年はトラブルなく安定した列車の運行が続き、明るい話題が続くことを期待したい。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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