金は冬に投資すると、そこそこ儲かりやすい 米国株が高値圏にある今は「買い時」の可能性

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再び「レンジ内」に入ってきた金価格だが、ここから一段の上昇となるかは、中国やインドなどの実需筋が、割安感から押し目を買う動きを見せるかが、一つのポイントだ。これまで中国やインドなどの実需筋は、金相場の水準が高かったことから、買いを手控えていた。特にインドは税金の問題などもあり、2017年第3四半期の宝飾品需要が前年同期比24.8%も減少している。また、同期間の投資需要も同27.9%減少するなど、高値圏での買いが完全に細っていた。

一方で、市場筋の見方としては、ビットコインが金相場の足かせになっているとの指摘もある。ビットコイン価格はここに来て乱高下しているものの、最近の両者の値動きを比較すると、確かに逆相関になっており、金市場からビットコインへの資金シフトが起きているとの説明はしやすい。しかし、従来から金に投資している伝統的な投資家が、ビットコイン投資にシフトしているのだろうか。

明確なことはいえないが、それぞれの投資家の属性はかなり違うように思われる。ビットコインは、いまは決済通貨の側面ではなく、投資家の取引対象としての立ち位置に近い。しかし、決済に使用する業者などが価格変動のヘッジに利用するようになれば、これは大きく違ってくる。これは特に先物市場に言える。シカゴオプション取引所(CBOE)では12月10日、ビットコインの先物取引を開始し、17日からはシカゴマーカンタイル取引所(CME)でも先物取引が開始された。ただ現時点では決済機能が確立されておらず、仮想通貨はあくまで投資対象として、今後も激しい値動きを続けることになりそうだ。

金価格は、なお安値圏にある

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このような状況の中、金市場は今後どうなるだろうか。ビットコインのような仮想通貨にとってかわられ、代替資産あるいは安全資産としての地位を失うだろうか。筆者はむしろ逆ではないかと考えている。

金には生産コスト(市場では1トロイオンス当たり900ドル弱とも言われる)という「絶対的な物差し」が存在する。この生産コスト以下の水準で長期間推移することは考えにくい。また、金はいまでこそ通貨としてあまり意識されていないが、以前からその価値を認められてきた。一方、仮想通貨には明確な裏付けがない。だからこそ乱高下しているのだろうが、金はそのような動きには、通常はならない。この差は、資産保全を検討する投資家から見れば、相当大きな違いである。

「金は冬に投資しておくのがよい」という確固たるデータがある。例年、11月から2月は金相場のパフォーマンスが最も高い時期に相当する。この期間のパフォーマンスは、ドル建て金価格が4.9%、円建て金価格で見ても4.2%の上昇となっている。生産コストの絶対水準から見れば、いまの水準はなお安値圏にある。米国株など、リスク資産の価格が高いいまだからこそ、安全資産である金を同時に保有しておくことで、資産運用の安定性を確保すべきだ。なお、米国株に投資し、米国債と金投資で資産を守る方法については、新刊「米国株は3倍になる!」で詳しく解説している。ぜひ参考にしていただきたい。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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