税の申告漏れが年7兆円超に及ぶ日本の現実

きちんと納税されれば消費増税よりも集まる

法人の実地調査率も5%前後で、非違件数割合は55~57%。追徴税額は400億円前後。これも全申告法人を実地調査した場合の追徴税額は1兆円前後になるはずだ。

あくまでも単純計算だが、所得税、相続税、贈与税、法人税、消費税の年間推計可能追徴税額を合計すると7兆~11兆円になる。2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられると、税収が約5兆円増えると見られている。とすると、所得税など諸税について税務調査がしっかり実施され、きちんと納税されていれば人件費などもちろん相応の費用はかかるが、消費税率を引き上げる必要はないということになる。

実地調査率の低下が止まらない

国税庁の法人に対する実地調査率(対象法人数に対する実地調査件数の割合)は、1960年代には15%を超えていたが、グラフを見てわかるように、2015年はわずか3.1%だ。個人に対する実地調査率もかつて2%台だったのが、最近は1%台で推移している。これは国税庁(税務署)が年々増加している申告事案に忙殺されているのに、職員数が増えていないことによると見られる。

戦後まもない1949(昭和24)年の日本の法人数は約20万社だった。それが2015年度は約264万社(国税庁資料による)と13倍にもなっている。それに伴い、法人税・所得税など主な国税の申告件数は1949年に約800万件だったのが、2013年に約2700万件と、64年間で約3.4倍になっている。

確かにコンピュータや通信機器などの著しい普及や高度化で、税務処理などのIT化の進展は目覚ましいようだが、人手でこなさなければならない業務もまだ多いはずだ。毎年初めの確定申告の時期における税務署の混雑状況を見るだけでも、申告業務処理での忙殺ぶりが想像できる。

国税庁は2014年11月6日に、こう発表している。「2013年度における法人税の実地調査件数は前年度比2.8%減の9万1000件で、記録が残る1967年度以降、最も少なかった。調査手続きの透明化を目的とした改正国税通則法が2013年に施行され、課税理由を文書で説明するなど事務量が増えたことが影響している」と。ならば国税庁の陣容強化は喫緊の課題である。

ところが、同庁の職員数はむしろ減少している。同庁の定員数は発足時の1949(昭和24)年6月に6万0495人だったのが、2017年度は5万5667人と4828人も減っている。財政再建の旗振り役である財務省の外局だから人員増は厳しいといった事情があるようだ。

業務量増加、職員数頭打ちのため、同庁の実地調査体制は後退を繰り返してきた。1949年の発足当初は、「全法人を毎年調査すること」を基本としていたが、法人数の増加でそれを断念。高度成長初期の1960年代初頭までは「少なくとも3年に1度は調査を行う」循環調査体制を取っていた。

しかし、これも難しくなってきたため、規模の大きな法人を中心に調査する体制にシフト。1973(昭和48)年頃からは高額重点主義(高額・悪質な不正計算が想定される法人などを重点的に調べる方針)を取り、今日に至っている。

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