フェイスブックの株価は、なぜ高騰したのか “弱み”だったはずの「モバイル広告」が急拡大

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「広告を表示するユーザーの条件を細かく指定するのではなく、幅広いユーザーを対象にしたほうが高効率」との調査結果も出ているという。「ターゲットを絞らずにリーチにフォーカスしてなるべく多くの人に見せたほうが、ROASが70%改善するという調査結果がある」(スモールウッド氏)。こうしたデータに基づく手法で進めた広告戦略が、2013年第2四半期の好業績に繋がったわけだ。そして、この広告戦略は日本でも始動している。

日本はモバイルユーザーが92%

日本はモバイルからフェイスブックを使うユーザーが多い。月間アクティブユーザー2100万人のうち1800万人がモバイル経由。デイリーアクティブユーザーに限れば、1400万人のうち1300万人、つまり92%がモバイル経由だ。モバイル比率は米国よりも高く、ニュースフィード広告を通じてモバイルユーザーにリーチできることは、広告主にとって大きな魅力になる。

今年5月に日本法人代表取締役に就任した岩下充志氏。東大卒業後、コロンビア大学でMBAを取得。広告業界、ブランドコンサルティングでの経験が長く、昨年は『ブランディング7つの原則』(日本経済新聞出版社)を編著者としてまとめた

「アドマン(広告マン)の立場から見て、これはものすごくよくできた広告。完成形とはいえないまでも、それに近い完成度を持った強力な広告商品だ」――今年5月に日本法人の代表取締役に就任した岩下充志氏はこう絶賛する。岩下氏は電通、ボストンコンサルティンググループでの勤務を経て日本マクドナルドの執行役員マーケティング本部長、ブランドコンサルのインターブランド日本法人社長を歴任した人物。フェイスブックがマネタイズのフェーズに移ったことを象徴する人事といえる。

「フェイスブックには、他のソーシャルメディアとは異なるポテンシャルがある。実名登録であることから真のユーザーの履歴が残っている点が最大の特徴。多くのユーザーへのマスリーチもできるし、ターゲットを絞ったプロモーションもできる。その組み合わせにより、効果的なプロモーションができる」(岩下氏)。米国同様、科学的に広告効果を測定することも目指す。5万人の購買履歴を補足しているインテージと組み、フェイスブック広告がどのように購買に結び付いたかを計測するための準備をしているところだ。

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