「スーパーあずさ」に登場したE353の凄い実力 カーブ時の乗り心地が従来とは大きく違う

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振子式には課題もあった。台車の構造が特殊なため、イニシャルコストとランニングコスト的には不利とならざるをえないのだ。また車体傾斜角度が大きい分、車両限界に抵触しないように車体の上下を絞り込む必要があり、居住性に難があった。一方で、アルミ車体の採用など通常車両でも低重心化することで、カーブ区間において多少のスピードアップが可能と

車体を傾斜させて走行するE351系(写真:Jun Kaida/PIXTA)

なった。

一方、車体傾斜装置は空気バネをストロークさせて車体を傾斜させる機構で、構造はシンプルでコスト的に有利となる。さらに制御付自然振子式を導入している線区では、線路マップを活用すれば、やはりカーブを予見することは可能だ。さらに車体傾斜制御を緻密にすることができれば、車体傾斜角度が小さくとも振子車と同等のスピードでカーブ区間を通過することが可能だという結論に達した。

こうして2015年にE353系量産先行車が登場した。E353系の試運転は2年以上にわたって実施された。その理由は車体傾斜を緻密に制御するためのセッティングにあったという。

車体同様をさらに抑制

また、E353系量産先行車では車体間ダンパで各車両を連結して、お互いの動揺の抑制を図ったほか、一部の先頭車(1、12号車)とグリーン車にフルアクティブサスペンションを装備して、車体動揺のさらなる抑制を図っていた。

振子機能がないE257系(写真:釣りどれ /PIXTA)

しかし量産車では車体間ダンパを廃止。その代わり、全車両にフルアクティブサスペンションを採用しており、車両単位で動揺を抑制する方向に改めている。

このE353系に乗車する機会を得た。ジャイロを持ち込んだわけではないので、あくまでも個人的な体感に過ぎないが、車体傾斜制御は非常に自然で、まったく違和感はなかった。さすが試運転に長い時間をかけただけのことはあるようだ。

最終的には中央東線の特急はE353系に統一されるということだが、12月23日からしばらくは、E353系とE351系、そして非振子車のE257系が中央東線を走ることになるので、乗り比べしてみるのもいいかもしれない。

松沼 猛 『鉄おも!』編集長

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まつぬま たける / Takeru Matsunuma

大阪府出身。明治大学文学部卒。株式会社三栄書房に20年間在籍し、編集者として世界各地を飛び回った。2008年12月から『鉄道のテクノロジー』編集長を務めた後、2013年5月に独立。現在は『鉄おも!』編集長のほか、『鉄道ジャーナル』『ニューモデルマガジンX』『カーグッズマガジン』、鉄道、自動車関連ムックなどに執筆。

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