「起業家的な働き方」をできない人たちの末路 従来型の「雇われ仕事」は消滅してしまう

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20世紀は、「単純系」と「煩雑系」の時代だった。学歴主義が幅を利かせたのは、「煩雑系」の領域で、“知識”を用いて、問題解決できる人材が必要だったためである。つまり、20世紀は、学歴に基づいた人材評価に大きな意味があった。問題が起きても、知識と手順さえわかれば、対処できたからだ。

しかし、時代は変わった。21世紀に入り、指示通り仕事をするだけでは生き残れない時代になっている。今求められているのは、入り組んだ混沌の中で問題を解決していける能力、すなわち「起業家精神」だ。

これからの時代、過去の価値観ややり方だけを妄信する人は通用しなくなる。彼らは、間違いなくAIや世界中の優秀な人材に置き換えられてしまうだろう。

にもかかわらず、世の中の大半は、いまだ知識を得ることに必死だ。時代は変わり、学歴(知識)の価値が低下しているのに、学校に通おうとする……。いま私たちが真っ先にやるべきことは、自らの「起業家精神」を着火させ、行動することなのだ。

「起業家経済」が到来した

世界が転換期を迎えていることを説明するために、ピアソン氏が強調するのが、3つのシフト。この3つのことを理解していれば、今後あなたの生き方は大きく変わるはずだ。

1)制約が知識から起業家精神にシフトしている。
起業家精神がなければ解決できない、「複合系」「混沌系」の仕事へのニーズがさらに高まっている。制約とは成長するうえで必要不可欠なもの。制約を乗り越えられたものが、その時代の支配者になる。
2)支配的機関が会社から個人(またはセルフ)にシフトしている。
以前は、大企業しか手に入れられなかったグローバル化やテクノロジーの進歩の恩恵を、個人やマイクロ多国籍企業でも享受できるようになった。
(※マイクロ多国籍企業:ごく少数の従業員が世界中に点在する企業のこと)
3)支配者がCEOから起業家にシフトしている。

 

知識経済期は、知識を有するものが強かった。しかし、グーグルをはじめインターネットの出現で、知識は民主化され、その価値は激減している。

昔なら、限られた人しか手に入れられなかった情報が、自宅やオフィスにいながらワンクリックで手に入る時代になった。資金力がなくても、世界中どこにいても、やる気さえあれば、自分1人で何かを始めることも容易になったわけだ。

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