中国人の出入り禁じたポーラ販売店の末路 11月下旬の騒動、法的にどんな問題がある?
化粧品大手ポーラの国内販売店で11月下旬、中国人を出入り禁止にするという内容が書かれた張り紙があったとして話題になった。同社は11月25日、「不適切な張り紙があった」と発表。張り紙を撤去したうえで、同店との契約も打ち切った。
問題の張り紙は、「中国の方 出入り禁止」と書かれて、販売店のガラス戸に張られていた。親会社のポーラ・オルビス ホールディングスによると、同店のオーナーが、ある中国籍の人物とトラブルになり、その人に向けてつくったもの。オーナーは「軽率な行為だった」と反省したという。
ポーラは事態を重く受け止め、11月25日に同店を営業停止にした。さらに同日、店舗との契約も打ち切った。ポーラ・オルビス ホールディングスの広報担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に「トラブルの原因はいえない」と説明。「ただ、ルールに反する行為として、全国のオーナーに情報共有した」と話した。
今回の「張り紙」問題は、中国のSNS上で火が付いて、海外メディアも注目を集めた。今回のように、国籍・民族を理由にして「出入り禁止」とすることは、法的にどんな問題があるのだろうか。猪野亨弁護士に聞いた。
合理性は見いだせない
「民法には『契約自由の原則』があり、誰と契約をするのかしないのか、当事者が自由に決めることができます。
たとえばNHKのように、受信契約を強制される場合もありますが、一般的にいえば、特定の人との契約を強制されることはありません。したがって、店側にも、客を選ぶことができます」
今回のように「民族差別」のような場合でも許されるのだろうか。
「特定の人というよりは、民族だったり、国籍だったりする場合には、その個人の責任ではない属性によって区別されることになり、通常、このような区別に合理性を見いだすことはできません。その結果、不当な差別ということになります。ヘイトスピーチ対策法でも『日本以外の国・地域の出身者かその子孫』を対象しています。