JR北海道は「JR東日本株」取得で安定化できる 業務・資本提携が生むメリットとは?
JR北海道発足時には年間498億円の営業損失が見込まれたため、年利7.3%で逆算して6822億円の経営安定基金が用意されたが、北海道新聞の試算によると、その後の金利低下による過去30年間での経営安定基金運用益の不足額は約4600億円、国による追加支援を差し引いても約3700億円に達するという。不足額については、政府が責任をもって手当てする必要がある。
考えられるアイデアとしては、東洋経済オンライン3月27日付記事「JR北海道、資金不足危機からの『大胆再建案』」で阿部等氏が提案している経営安定基金の積み増しによる経営安定基金運用益の増加策や、鉄道利用者から徴収するユニバーサル利用料を制度化した上での上下分離方式の導入に基づくJR北海道の運営費負担の軽減策などをセットで実施する必要がある。
JR各社の持ち株会社設立検討を
JR北海道の抜本的な経営改善を図るためには、上記記事(JR北海道、資金不足危機からの『大胆再建案』)で紹介されたように、筆者がかねて提案するJR各社の株式を保有する持ち株会社・日本鉄道グループホールディングス(以下、JRHD)の創設と、JR各社の傘下組み入れの方策が有効であると考えている。
この方法によれば、JRHDは上場4社(JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州)から配当収入を得ることができ、それをJR北海道、JR四国、JR貨物の支援に充当することが可能となる。実現には政府の決断が必要となるため、ハードルは低くないが、検討の価値は十分にあると考えている。
人口減少や少子高齢化、過疎化、モータリゼーションの進展などで、鉄道を取り巻く状況は厳しさを増すばかりだ。JR北海道の経営問題は、他地域でも決して他人事ではない。鉄道事業者間の営業、技術面での協力関係を一層強固にし、さらに採算鉄道事業者の利益を不採算鉄道事業者の路線運営に活用することを通して鉄道ネットワークの持続的運営を実現する未来図について、国民的な議論を深めるべき時期に来ている。
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