JR北海道は「JR東日本株」取得で安定化できる 業務・資本提携が生むメリットとは?
しかし、JR北海道にとっては、JR東日本との合併または経営統合はJR北海道の企業価値向上につながる。
発想を転換すれば、JR北海道がJR東日本の株式を取得することは可能である。本記事では、営業、技術面での協力関係をさらに強固にし、採算鉄道事業者であるJR東日本の利益を不採算鉄道事業者であるJR北海道の路線ネットワークの運営に活用する道筋を開くために、JR北海道とJR東日本が業務・資本提携を締結したうえで、JR北海道がJR東日本の株式を取得する方策を提案したい。
そして、業務・資本提携を通して、JR東日本の東北新幹線とJR北海道の北海道新幹線の相互誘客策の強化を促して両社の利益を増やすことができれば、両社の利益増に向けたベクトルの一致につながるはずである。JR北海道は株主として、JR東日本に対して北海道新幹線への送客促進策を要望することが容易となる。
財源は経営安定基金で
JR北海道との業務・資本提携は、JR東日本にとってもメリットがある。
同社の2017年3月期決算説明会資料によると、北海道新幹線開業に伴いJR東日本には85億円(うち、同新幹線開業効果に伴う東北新幹線の増収額95億円、在来線廃止に伴う減収10億円)の増収効果がもたらされた。同新幹線がさらに札幌まで延伸すれば、さらなる増収効果が期待できる。同新幹線の増収効果を永続的に享受するためには、JR北海道の安定経営を担保することが必要である。JR東日本がJR北海道の出資を受け入れ、配当支払いで支援することは、北海道新幹線による増収効果を永続的に確保するうえで意義があると考えられる。
それでは、JR北海道がJR東日本株式を購入する財源はどうするのか。筆者は、JR北海道の経営安定基金6822億円および「鉄道建設・運輸施設整備支援機構特別債券の引受けのための借入金」(以下、「特別債券借入金」)2200億円の合計9022億円を活用すればよいと考える(ただし、「特別債券借入金」の使途変更については「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」の改正が必要となる)。
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