誤算と自爆の果ての「小池劇場」閉幕のあと 「希望の党」の存在意義、都政の行方は?
両院議員総会では「喪服」を思わせる黒ずくめの衣装で代表辞任を表明した小池氏だが、同夜の「都民ファーストの会」のパーティーには、自らが"都政カラー"としたブルーの上着に東京五輪グッズの市松模様の風呂敷を首に巻く都知事ルックで現れた。都民ファは小池氏が立ち上げた地域政党で、政治資金パーティは初開催。特別顧問を務める小池氏は「何かと拙速なところがあって、十分に実らないこともあったが、めげることなく都民のために働く」と笑顔で挨拶して来場者の拍手に包まれた。
しかし、7月の都議選での小池氏との選挙共闘で「知事与党」となった都議会公明党は14日、東村邦浩幹事長が「これまで小池知事寄りのスタンスを取ってきたが、これからは是々非々でやっていく」と記者団に語り、知事与党からの離脱を宣言した。東村氏は「(小池氏が希望の党の)代表を辞めようが残られようが、われわれのスタンスはあの時で決まっていた」と説明し、小池氏の国政挑戦が関係解消の決め手となったことを強調した。
都議選後、都民ファースト(53人)と公明(23人)の合計76人の知事与党が都議会(定数127人)の過半数を占めて小池都政を支えてきたが、今回の公明の離脱宣言で小池都知事は「少数与党」で宿敵・自民党(23人)との対峙を迫られる。来年10月に予定される築地市場の豊洲移転問題を始め都政の火種は多く、来年度予算案や各種条例案の都議会可決には、知事自ら低姿勢で各党の協力を求めるしかない。
葛飾区議選は惨敗、五輪は政府の圧力強まる
「国政復帰への踏み台作り」と多くの都民が受け止めた希望の党結党から衆院選敗北に至る“小池騒動”で、都知事としての支持率も急落。騒動の最中に実施された12日投票の葛飾区議選でも、都民ファが惨敗した。都議選後初の区議選に、満を持して臨んだ都民ファだったが、公認候補5人のうち、当選したのはわずか1人。小池都政への区民の不安と失望が顕在化した結果だ。小池氏は1度も応援に入らず、都民ファが内定した公認を辞退して出馬した女性候補や、小池氏に三下り半を叩きつけて決別した音喜多駿、上田令子両都議が応援した候補2人の当選で、都民の急激な“小池離れ”も浮き彫りとなる。
衆院選圧勝で1強を維持する安倍晋三首相との緊密な連携が必要な東京五輪開催についても、これまで以上に「政府からプレッシャーがかかる」(五輪組織委幹部)ことは間違いない。小池知事の求心力低下がさらに進めば「心ならずも安倍首相の軍門に下る」(官邸筋)という“屈辱の事態”も現実味を増す。「いつも正念場のつもりで頑張る」と笑顔で語る小池氏だが、内心の苛立ちと焦りは隠しようがない。
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