欧州でもスタート、列車「混雑情報」開示の実力 山手線や東急に続くのは英国とドイツだった

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これは、オープンキャパシティが一定期間で集めたデータを収集したうえで、ホームへの入り口への距離など人の流れも加味し、利用者の傾向を分析。これを列車および車両ごとに空き状況がわかるようなフォーマットに落とし込んだものだ。通勤列車はおおむね毎日同じルーチンで乗っている人が多いため、大きなイベントや事故でもないかぎり、長期データからの分析でも十分機能するということなのだろう。

シュトゥットガルト近郊鉄道の混雑状況を示すアプリ。予測との誤差は極めて小さい(筆者撮影)

使い方は簡単だ。ウェブで自分が乗る駅と出発時間帯を選ぶと、その前後の列車が編成表とともに表示される。そこから混雑状況をチェックしてだいたいその目星をつけた車両の前に立って、列車に乗り込めばいい。この混雑予想サイトを使う利用者が増えれば増えるほど「以前は座れたのに、今は座れない」という状況が起こるのかもしれないが、編成全体の混雑度が分散され、結果として「みんながウィンウィン」となるわけだ。

目下のところ、オープンキャパシティが提携している英国の鉄道事業者は、ショーディッチ・ハイストリート駅に乗り入れるロンドン・オーバーグラウンドとc2cの2社だ。今後の英国での展開についてボエムさんは「地下鉄へも活用範囲を広げたい。可能ならロンドンの市内バスのデータも取り扱ってみたい」と意欲を示す。また、ボエムさんが南ドイツ出身ということもあり、シュトゥットガルト近郊電車の混雑情報の提供をドイツ鉄道(DB)の協力を得て近々にも公開を始めるという。

7日先の混雑予測まで公開

シュトゥットガルトでの情報提供は、ロンドン・オーバーグラウンドでの告知内容と同様に、列車の各車両の混雑状況を色分けして示すものだ。ところが決定的に優れた点がある。シュトゥットガルトでの情報は、沿線各駅すべての混雑予測がスマートフォンのアプリを通じて見られるようになっているだけでなく、7日先の状況までチェックできる。つまり、数日先の外出予定を組む際、混んでいる列車をあらかじめ確認し、それに応じて行動することもできるわけだ。

実際の混雑状況と予測との誤差をボエムさんに尋ねてみたところ、「利用客が列車に乗る段階での予測と実際との違いは、乗車率ベースで10%もしくはそれ以下だ」という答えが返ってきた。

ところで、ロンドンには混雑情報を提供する別の鉄道事業者もある。北郊外から南海岸へロンドンを縦断する形で走るテムズリンクでは、新車への更新を機に、混雑情報を車内ディスプレーに表示するようになった。同路線は8〜12両の長い編成で走っており、車両ごとの混雑度の度合いが著しく違うことがあった。しかも、ロンドン中心部から1時間以上先に向かう乗客が多い、北と南に国際空港がある、などの背景もあり、少しでも多くの乗客に座ってもらうためのサービス改善が求められていた。

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