欧州でもスタート、列車「混雑情報」開示の実力 山手線や東急に続くのは英国とドイツだった
ロンドン東部の街・ショーディッチ。若者たちの間で「流行の最先端を行く地域」として知られる。このエリアの表玄関となるショーディッチ・ハイストリート駅にこの10月、列車の車両ごとの混み具合が一目でわかるディスプレーのトライアルが始まった。
ロンドンでこの手の情報が利用者に向けて公開されるのはこれが初めてだ。同駅で人々の流れを見ていたら、けっこう多くの人々が興味深そうに画面を眺めている。このディスプレーシステムを開発したのは、その名もオープンキャパシティというベンチャー企業で、モノのインターネット(IoT)を専門とする3人のコアメンバーが携わっている。
どうしてこのようなシステムを開発したのか、その動機や今後の展開について代表のゲリット・ボエムさんに話を聞いてみた。
混雑状況の解析方法は?
ドイツのミュンヘン出身のボエムさんはロンドンの大学で「説得技術(Persuasive Technology)」という分野で博士号を取得したエリート。現在はビッグデータを環境に優しい交通機関に生かすことをメインに研究しているという。ちなみに「説得技術」とは、「誰かに対して“説得”する際、社会的影響や心理学の技術を用い、強制することなく行うことを目的とした学問分野」という定義付けがある。残りの2人も、ITスタートアップの専門家だったり、人工知能(AI)のエキスパートだったりと、いわば少数精鋭でこのシステムを立ち上げたことになる。
「博士号を取るために奨学金が必要だった。説得技術の研究を進めるために、どんな実例を使って応用するかを考えたところ、列車の混雑情報の提供システムを作ることを思いついた」
開発のきっかけについてボエムさんはこう話してくれた。
さて、ボエムさんらが開発した「車両混雑状況の解析方法」について説明してみよう。
まず名称だが、「リアルタイム・キャパシティ・フォーキャスティング&パフォーマンス・マネジメント・プラットフォーム」という長ったらしい名前が付けられている。これを直訳すると「即時に、(車両に収容できる)能力を、予想・分析そして表示、管理する動作環境」となり、どんなシステムなのかおぼろげながら伝わってくる。
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