通達で暗転、中国・ビットコイン取引所の嘆き 日本とは真逆、宴に取り残された幹部が告白
仮想通貨に関する業務は大きく2つに分けられる。仮想通貨を生み出す採掘(マイニング)とユーザーの取引を仲介する取引所だ。いわば外貨を稼ぎ出すマシーンであるマイニングについては中国政府はいっさい規制していないが、後者に関しては投機やマネーロンダリング、資本流出につながりかねないと厳しく警戒している。
2013年の通達をきっかけに、取引所はばたばたと潰れていった。2年以上も業界は冷え込んだが、「バブルぎみの状況を見直すいい機会だったかもしれない」(W氏)。
同通達で仮想通貨は通貨ではないと定義されたものの、“特定のバーチャル商品”と認められ、登記した取引所での取引は認められていた。そして2016年秋ごろから中国の仮想通貨取引は再び上昇気流に乗った。2017年初頭には取引過熱を懸念した当局の指導によって一定期間、取引所を閉鎖しなければならない時期もあったが、それでも好調は続いた。
1通の通達で突然取引禁止に
それが暗転したのは、9月4日に当局から出された新たな通達だ。直接はICO(イニシャル・コイン・オファリング、仮想通貨の発行による資金調達)に関する規制だったが、人民元への交換禁止など、事実上の仮想通貨の取引規制も含まれていた。
「取引が突然禁止されるとは民主主義国家では考えられない話だ。従来の規定を見直すのならば、議会での審議を経て2~3年はかかるはずだ。普通の国ならば政府を訴えているところだ」
W氏は憤った。急速な政策転換によってビジネスの生死が決められてしまう。いわゆるチャイナリスクに翻弄されているのは外国企業だけではなく、中国企業も変わらないというわけだ。
この取引所は2013年通達に従い、投資家の啓蒙に努めてきたという。実際にサイトを見ると、仮想通貨の歴史から始まりリスクの説明や海外の最新事例の紹介など無料とは思えないほど情報が充実している。またバブル的な投機を生むとして批判の的となったICOにも手を出さないなど、法令順守を心掛けてきた。それでも十把一絡げに全面禁止となったことに強い不満を感じているようだ。
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