20周年を迎えるダイキンの障害者雇用 「つぶすのは社会悪」と井上会長兼CEO

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赤字から脱却できた理由

創業時から昨年まで社長を務めた應武顧問は、「仕事を見つけてくることが課題だった」と振り返る。サンライズ摂津で最初に取り組んだ仕事は油圧機械の加工。しかし、工程が複雑で生産性はなかなか上がらず、当初は赤字が累積した。一方、簡単な仕事は手間賃も安い。付加価値の高い仕事にはスキルが求められ、そうなると勢い採用もスキルを重視するようになってしまう。しかし、それでは障害者の雇用はなかなか増えない。

そこで付加価値の高い仕事を受注してきて、いかにそれを効率よくこなすかに尽力してきた。たとえば、ダイキン工業は「ハイサイクル生産」と呼ぶ、需要変動に機敏に対応できる生産方式を確立している。そのハイサイクル生産にサンライズ摂津の部品供給を同期化させることで、親会社ダイキン工業のニーズにきめ細かく対応できるように工夫を重ねてきた。

一方、適性に合わない仕事では就労意欲を保つことができず、長続きもしない。「どのような仕事を見つけてくるか、これからも大きな課題」(應武顧問)だという。

澁谷社長は「今後も人数を拡大し、5年後には50~60人ほどは増やしたい」と意欲を見せる。ただ、そうなると現在の工場ではキャパが足りなくなるが、福利厚生施設を融通するなどして、なんとかやり繰りをつけると張り切る。

「つぶす訳にはいかん。つぶすのは社会悪」。井上会長は強調する。「(障害者が)自信を持ってやれたときの喜びは、健常者にはわからない」とも語り、「自力で稼ぐという誇りを持ってもらえる場を作ることが大事」と、今後も障害者雇用の拡大を継続する決意を新たにしたようだ。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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