20周年を迎えるダイキンの障害者雇用 「つぶすのは社会悪」と井上会長兼CEO
成果主義、提案制度も機能
サンライズ摂津の基本方針は「甘やかさない」「やる気のある人には手を差し伸べる」というもの。「甘やかさない」というのは、親会社ダイキン工業の社是でもある。会社が存続できるように、また社員自らの力で利益を上げられるようにすることに心を砕く。
このため処遇は健常者とまったく同じ「成果主義」を取る。不良品を出さなくなった、アイデアをよく出す、できる作業が増えたなど、一人ひとり、異なる仕事の成果や積極性で相対評価し、これを給与に反映させている。個人個人で得意な仕事も違うが、働いた成果をきちんと評価することで、障害者のやりがいと自立とにつながるという考えに基づいている。
現場の改善も自分たちで考え、障害者だけで会社が回る形ができるような仕組みも作ってきた。96年からは提案制度を採り入れ、どんな障害を持つ人でも働きやすい職場にするにはどうすればいいかを話し合ってきた。現在では年間50件ほどの提案も寄せられるようになった。
職域の拡大やレベルアップにも取り組んでおり、リフトの運転やガス溶接技能の講習実施など、業務拡大に向けて必要な資格の取得奨励も行っている。この結果、ガス溶接資格取得者は5人、冷媒回収資格の取得者も14人に上り、うち4人は知的障害者という陣容にまで育っている。また、11年4月には肢体不自由者3人が基幹職に登用されている。
サンライズ摂津に入社する際、新入社員は後藤工場長と、1)仕事は厳しいもの、2)仕事でウソをつくな、3)職場は明るくやる、という3つの約束をする。これを守らない社員は「説教部屋行き」となり、後藤工場長と首っ引きで“お話をする”ことになる。時間はかかるが「わかるまで説明することが重要」と後藤工場長は力説する。とにかく職場を明るく保ち、個々人に達成感を持たせることに注力している。
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