同じ距離で違う金額「特急料金」は明朗会計か

数多くの特例、消費者に対する説明は十分?

営業キロと特急料金が対応していない事例は、私鉄でも存在する。

東武鉄道は、特急料金区分として「40kmまで」「41~60km」「61~120km」「121km以上」の4区分を設定しているが、浅草―久喜間47.7kmまたは浅草―杉戸高野台間44.2kmについては「40kmまで」と同額の510円に設定している。一方、栃木―下今市間42.5kmの「リバティ」料金は930円であり、上記浅草―久喜間・浅草―杉戸高野台間よりも距離が短いにもかかわらず、1.8倍以上となっている。

これらの料金の違いについて、東武鉄道広報部は「浅草―久喜間・浅草―杉戸高野台間は通勤・通学などでお得にご利用いただくことを目的として、『40kmまで』と同額の特急料金としている。また、車両の快適性の違いに応じて列車ごとに異なる料金区分を設けている」と説明する。

「駅間で表示したほうがわかりやすい」

また、小田急電鉄も相模大野―片瀬江ノ島間27.6kmおよび本厚木―新松田・松田間26.4kmの特急料金を300円に設定している。一方、成城学園前―町田間19.2kmは410円である。営業キロ区分の特急料金表を特急時刻表や同社ウェブサイトでは公開しておらず、駅に備え付けてある旅客営業規則で確かめるほかない。

特急料金が区間ごとに異なる理由について、小田急電鉄CSR・広報部の担当者は「江ノ島線と本厚木―新松田・松田間の利用促進を図ることと、お客様にお得にご利用いただくことを目的に低額な特急料金に設定している。旅客営業規則については今後もウェブでの公開の予定はない」と説明する。

営業キロに対応して異なる有料特急・座席料金区分を有する大手私鉄(全区間均一料金の京成電鉄、京浜急行電鉄、名古屋鉄道を除く)で、営業キロ区分の特急料金表をウェブサイトで公開しているのは、西武鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道の3社にとどまる。東武鉄道、小田急電鉄、京阪電気鉄道は非公開である。

非公開の理由については、東武・小田急・京阪の3社とも「駅間の料金表示のほうが消費者にとってわかりやすい」ことを理由として挙げる。ちなみに、京阪プレミアムカー料金については、京阪電鉄広報部によると、34kmまで400円、35km以上500円に設定されている。

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