東京モーターショーは本当に衰退したのか 来場者や出展企業だけで語るのは寂しい話だ

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ショーそのものの中身はどうだったか。まず、一般メディアやTVでは「EVシフトが鮮明に」などと報道されていたが、「本当に会場を回ったのか?」と聞いてみたい。個人的にはEV、ガソリン、ハイブリッド、ディーゼルとバランスよく展示されていたようにしか見えなかった。

TOYOTA CONCEPT-愛i(撮影:鈴木紳平)

「遠い未来」より「近い未来」への提案が多かった

国産メーカーは数多くの世界初公開モデルを登場させたが、東京モーターショーの特徴の1つであった純粋なコンセプトカーの数は減り、逆に市販モデルを示唆するコンセプトカーや市販予定モデルが多かったように感じた。

マツダ魁(かい)コンセプト(撮影:風間仁一郎)

そういう意味では、「遠い未来」より「近い未来」への提案が多かったのだろう。個人的には数合わせの意味を持たないコンセプトカーのたぐいが減ったのは喜ばしいと感じた。一方で、「各社の先進技術を持ち寄り、存在感のある“世界一のハイテクショー”にしていきたい」というコンセプトは、正直言って時期尚早に感じた。それは東京だけの問題ではなく、デトロイトもフランクフルトでも次世代をテーマにしたブースは人気がないという同じ悩みを持っている。そもそも自動車メーカーすらそれらを用いた具体的な未来やイメージが見えていないのだから、エンドユーザーにはピンと来なくて当然だろう。

ブースは、以前のように豪華絢爛ではないものの、各メーカーの独自性がアピールできていたと思うし、多くのメーカーは海外モーターショーと同じブースの意匠、つまり世界共通のブーステーマが採用されていた。もちろん、海外ショーのブースは2階建てが多く、打ち合わせや休憩可能なスペースが用意されているが、それはビジネスユースがメインで、一般のお客さんにはあまり関係のないことだ。

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