東大はもう"オワコン"なのか? 藤原和博とスーパーIT灘高生が考える(中)
藤原: 「日本」というのを、下手すると日本の若いヤツ以上に持っている気もするんだけど、それはどこで育まれたの?
Tehu: 思い当たることといったら、たぶん国籍に対するコンプレックスですかね。
藤原: それはあるの?
Tehu: あります。やっぱり物心ついたときから、日本と中国の関係がよくないし、とくにここ数年は。
藤原: ここ数年、ちょっとね、うん。
Tehu: ネットにボクの「張」という名前が出ると、国家間の騒ぎが起こるたびに炎上するんです。ボクは、攻撃してくる人たちよりもずっと日本が好きなんですけどね。
藤原: そうやってネット上での自分が追い込まれてくることがあるわけだ。
Tehu: ネット上で支持をいただいてる一方で、居場所のなさを感じます。
藤原: ネットというのは感情を増幅させるからね。必要以上に攻撃されるなかで、ネット上での自分の人格みたいなものが育っていったんだね。
アメリカと東大は同じにおいがする
Tehu: ボク、日本に傾倒したのはわりと最近なんです。中学に入ったときは、どうせ近いうちにアメリカに行くんだろうと思っていたんですが、どんどん日本に傾いていって、日本は素晴らしい国だと思うようになりました。いまはもう、少なくともアメリカで学ぶことは絶対にない。
藤原: そう。
Tehu: アメリカは殴り込みに行く場所だと思っていて。
藤原: 前の世代は、つまり「人類1.5」ぐらいまでは、孫正義さんが高校からアメリカに行きましたよ。当時としては非常に珍しいケースだった。久留米の付設高校から通常は東大や京大に行くわけですが、いきなりアメリカに行っちゃってね。
Tehu君の世代ではどう? 周りを見ていてアメリカに対する憧れって、もう皆無?
Tehu: いや、あります。むしろ強いと思います。
藤原: まだ強い。
Tehu: ボクが異端なんです。
藤原: そうなんだ。でも、オレはわかる気がするな。そういう魅力、アメリカにないよね。東京のほうがよっぽど魅力的。世界で一番おいしいフランス料理、東京で食えるでしょうみたいな(笑)。
Tehu: そうそう。ボクはけっこうご飯を大事にするんです。前にサンフランシスコからボストンまで横断して1週間いたんですけど、最終日にエバーノートの日本法人会長の外村仁さんの家にうかがって、しゃぶしゃぶを食べたんです。がんばって輸入した黒毛和牛の。もう感動して泣きましたね。
「やっぱり日本だ」としみじみ思いました。外村さんはおカネがあるからいつでも日本食を食べられますが、たぶんボクがおカネも持たずにアメリカに行ったら、人生損するなと。
そういう食の面もありますが、基本的にボクはやっぱりアメリカに対する反抗心が常にあるんです。権力を持って調子に乗っている。それと同じにおいが東大にもするんですよ。
藤原: なるほど、おもしろい。
Tehu: アメリカって常に留学生を受け入れる側であって、「来いよ」みたいな感じじゃないですか。東大もそうですよね。ボクとしてはこれまでいろいろがんばってやってきたので、「来てください」ぐらいでないと、やってられないんです。
藤原: それぐらい生意気なのは気に入った!
(司会:佐々木紀彦、構成:上田真緒、撮影:尾形文繁)
──続きは9月27日(金)に公開します
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