ソニーが最新スマホに込めた「秘伝のたれ」 「カメラの視点から」再定義

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Z1を手にする鈴木国正・ソニーモバイル社長(中央)

ソニーモバイルは高級機からミドルクラスまでをラインナップしており、まずは中国を除くアジアと欧州でのシェア拡大を目指している。その後は、中国や米国でもシェアアップを図り、「確固たる世界シェア3位」(鈴木社長)の早期達成を狙う。

しかし、ライバルは多い。現状はサムスン、アップルに続くメーカーはLGエレクトロニクス、レノボ、ZTE、ファーウェイだ。特に中国メーカーの躍進が著しい。黒住氏は「携帯電話の新しい技術の発信地といえば2002年の時点ではi-modeの日本だった。その後、欧州に主力が移り、今はアップルやグーグルなどが全盛。それに加えて、中国の重要性も増している」と指摘する。

強みをもっと強く、「奇策はない」

「中国のオッポ、シャオミーなどの新興メーカーは侮れない。レノボ、ファーウェイなどもしっかりとした製品を作っていると思う。そうした中で3位を目指すのは容易ではない。奇策はないので、デザイン、テクノロジ、小型化といったこれまでの強みをもっと強くしていきたい」(黒住氏)。

注目されるのが周辺機器だ。ソニーは周辺機器として円筒型カメラ「DSC-QX10」「DSC-QX100」を発売するほか、ウェアラブルデバイスのウォッチについては他社に先行している。こうした機器はソニーのスマホ専用機ではなく、幅広いスマホに対応している。まずは特徴のある周辺機器を幅広いユーザー層に利用させることにより、ソニーブランドを輝かせる「ヘイロー効果(際だった特長に引っ張られて、高い評価を与える認知バイアスのこと)」を狙うべきかもしれない。

つまり、優れた周辺機器を売り込むことで、Xperiaに振り向かせる作戦だ。具体的には、画素数が8メガピクセルに過ぎないiPhone5sに「DSC-QX10」「DSC-QX100」を取り付けるように宣伝をしていけば、結果的に、Xperiaにあこがれを持つユーザーが増える可能性はある。

ドコモがiPhoneの取り扱いを始めるほか、新興国市場にはアップルも力を入れ始める。競争環境が複雑化する中で、独自の個性を発揮し続けることができるか。それが「シェア3位」達成のカギを握っている。

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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